アムネスティ用語集(50音順)

アクション (Action)

「アクション」とはアムネスティのさまざまな活動を表す一般用語です。アムネスティのアクションには以下のようなものがあります。

・政府間組織へのアプローチ

・アクション・ファイル

・キャンペーン

・企業へのアプローチ

・危機対応行動

・デモと象徴的なイベント

・手紙による要請と嘆願

・人権教育

・自国政府へのロビー活動

・メディアへの働きかけと広報

・派遣団

・弁護士・医師などの専門家団体など他団体、個人への働きかけ

・地域別行動ネットワーク

・緊急行動

・世界的なアピール

各アクションの期間と規模は異なります。緊急行動もしくは危機対応行動のような短期集中型から、異なるタイプの圧力(例えば、直接のアピールや広報)、多数のアムネスティ支部やグループが参加する長期キャンペーンまでさまざまです。

国際事務局と各支部は、会員の決めた戦略に沿って、それぞれの人権侵害に対してどのようなアクションをとるのかを決定します。その際に考慮される要素は以下の通りです。

・状況の緊急性

・最も効果的なタイミングと規模

・申し入れをすべき当該国政府、その他の勢力(例えば反体制武装組織)、影響力を持つ個人、組織、メディア

・政府、政府間組織、当該国に影響あるいは利権を持つ組織(国際企業のような経済的主体を含む)

・アクションに関わるアムネスティのネットワーク

・利用できる資源

アクション・ファイル(Action Files

アクション・ファイルは特定のケース、複数のケース、人権に関する問題、についての情報の書類のことを示します。キャンペーン活動の基礎情報としてグループに割り当てられます。

アクション・ファイルはアムネスティのマンデイト(責務)のいずれかの面を扱います。グループは、良心の囚人を「担当する」(ケースを活動として取り上げる)すること、「失踪」についての情報を求めていくこと、例えば特定の国の死刑のような特定の問題について抗議することなどを求められます。アクション・ファイルを割り当てられたグループは、背景情報、抗議先の住所、活動の選択肢に関するガイドラインなどの情報だけではなく、効果的に活動するための戦略と戦術に関するアドバイスを受け取ります。グループは、活動をおこなうために自身の資源を引き出すように期待されます。

アクション・ファイルの割り当ては、通常1年以上続き、もっと長く続けることができます。長く続けることで、アムネスティが標的とする当局にかける圧力を長期間維持し、また、活動に従事するメンバーの関与と意識の度合いを高い水準に引き上げることができます。アクション・ファイルは通常、1つ以上のグループに割り当てられます。一つのテーマに関するアクション・ファイルの場合、世界中で40以上のグループがその問題に関して一緒に活動します。

毎年数は変わりますが、だいたい数百の新しいアクション・ファイルが発行されます。おおよそ1000のアムネスティ・グループがいつでも一つ以上のアクション・ファイルについて活動しています。

アムネスティフランス語編集局(EFAI)

アムネスティフランス語編集局(EFAI)はフランスのパリにある非集中化ユニットであり、国際事務局が発行した文書、報告書、キャンペーン資料のフランス語への翻訳、作成、配布をおこなっています。また、フランス語による国際ウエッブ・サイト<www.ifrance.com/EFAI>を主催します。そのメンバーはすべてのフランス語を話す支部からなり、彼らは翻訳と制作の優先順位を決めるために毎年の会議に代表を送り、フランス語を話すグループからの傍聴者がその会議に招待されます。選出された執行部は国際執行委員会に報告します。

アムネスティ編集局(EDAI)

アムネスティ編集局(EDAI)はスペインのマドリッドにある非集中化ユニットであり、国際事務局が発行した文書、報告書、キャンペーン資料のスペイン語への翻訳、作成、配布をおこなっています。また、スペイン語による国際ウエッブ・サイト<www.edai.org>を主催します。そのメンバーはすべてのスペイン語を話す支部とグループからなり、彼らは翻訳と制作の優先順位を決めるために2年に1回の会議に代表を送ります。選出された執行委員会は国際執行委員会に報告します。

アラビア語プログラム(ARABAI

アムネスティのアラビア語プログラムは、現在ロンドンの国際事務局によって管理されていますが、アムネスティのアラビア語を話す会員の使用のために、アラビア語によるアムネスティ報告書、文書、キャンペーン資料を提供しています。プログラムはまた、アムネスティ会員とより多くの一般の人びとの両方がアラビア語の資料を入手できるアラビア語ウエッブ・サイトwww.amnesty-arabic.orgを運営しています。アラビア語プログラムは、より長期間の間には、独立した非集中化ユニットとして地域に設立されるでしょう。

欧州連合協会(European Union Association

アムネスティの欧州連合協会事務所は、ヨーロッパ連合内の支部によってブリュッセルに設立され、ヨーロッパ連合の人権マンデイト(責務)の発展に影響を及ぼしています。

2000年には、欧州連合協会事務所は、欧州連合諸国を説得して、欧州連合の基本的人権の新しい章に難民の権利とルフールマンや集団的追放の禁止を含ませるキャンペーンを組織し、成功しました。

200010月に開始した拷問に反対するアムネスティの世界的キャンペーンの一環として、欧州連合協会は、欧州連合による第三世界における拷問を防止・根絶する実施ガイドラインの採択をキャンペーンの目標としました。

外部への働きかけ(Outreach

外部への働きかけ(アウトリーチ)とは、他団体、個人、社会的団体などとともにアムネスティの活動を進め、目標を共有することです。これは、アムネスティのキャンペーン手法の重要な要素であり、国際事務局レベルから地域グループのレベルまであらゆる層が関わります。

外部への働きかけは、以下のような方法でキャンペーンの効果を増大させます。

・アムネスティのメッセージを強化する

・アムネスティが、地域社会の他団体や個人と同じ関心を持っていることを示す

・アムネスティの活動やキャンペーンの認知度を高める。それにより新たな会員や活動を促進する

・より広い人権運動の分野において、他NGO(非政府組織)と協働関係を構築する

・財政活動の一助となる

外部への働きかけは、多くの場合、法律家や医者などの影響力のある個人で構成される組織に向けておこなわれます。また、女性、青年、企業など自分たちの身近な地域社会にある組織に向けられることもあります。あるいは、青年組織に対して特定の関心事について提案するなど単一のアクションによる活動や、さまざまな専門分野とより長期的な関係を築く場合もあります。一般的なルールとして、他団体や組織に対する働きかけは、それに対応するアムネスティの機関がおこないます。支部は、全国展開している団体に働きかけをおこない、グループは地方や地域、地区に根ざした団体などに働きかけます。他団体の中には、アムネスティの特定のケースに関心を示すところもあります。女性団体であれば、女性に関わる活動を考えるかもしれません。また、専門知識を提供できる団体などがあります。例えば、教師などは人権教育活動に加わることが可能です。外部への働きかけに関してはキャンペーン・マニュアル、企業の項も参照。

家屋破壊(House destruction

家屋破壊とは、政府の命令によって家屋を破壊したり封じたりして、家屋への接近を一部でも妨げること、あるいは住めないようにすることをしめします。こうした行為は、居住者や(居住者を罰することによって)その関係者を罰するため、あるいはより広いコミュニティ全体を脅迫し、恐怖を抱かせるためにおこなわれることが多いのです。

アムネスティは、上記のように定義される家屋破壊に反対します。また、民族的アイデンティティを理由に、都市計画などを利用してそこに住む人びとを標的とするような住居破壊政策にも反対します。民族集団をねらった家屋破壊行為はイスラエル占領地域、ビルマ(ミャンマー)、トルコ、旧ユーゴスラビアなどで起こっています。アムネスティは、実際に家屋破壊にいたる行為だけでなく、こうした行為を許すような立法や指示、命令に対しても反対します。

隔離拘禁(Incommunicado detention

被拘禁者が、弁護士や、医者、家族や友人など拘禁施設の外部の人びととの連絡を許されずに拘禁されることをいいます。拘禁施設内で何が起こっているのかを外部にいる支援者が知ることができれば、被拘禁者を権利侵害から守り、あるいはその権利侵害を広く知らせることができるはずです。隔離拘禁のもとでは拷問や虐待、「失踪」などが非常に起こりやすくなります。弁護士や独立の医療専門家、家族などとの面会が、被拘禁者の健康状態や前述のような人権侵害を防ぐ可能性があり、拘禁条件を監視する機会ともなります。

隔離拘禁は独房拘禁とは違うものです。外界との接見・交通を許されない被拘禁者はひとつの拘禁房に複数で入れられていたり、他の被拘禁者と連絡することはできたりする可能性はあります。

アムネスティは隔離拘禁に反対しており、すべての囚人について、拘束後、独立した司法機関の前に遅滞なく連れて行くよう各国政府に要請しています。囚人は親族や医者、弁護士に遅滞なく接見・交通でき、その後も定期的に接見・交通できなければなりません。

危機対応(Crisis response

ある特定の国や地域において特別な人権危機が生じ、アムネスティが例外的に最優先に取り組むことが必要となることがあります。そのような場合、事務総長はアムネスティが「危機対応態勢」をとるかどうかを決定します。その場合には、スタッフや財政、キャンペーン資源の再配分が必要となります。現在、特別な人権危機の判断基準としては以下のようなものがあります。

・当該国または地域に大変深刻な規模の人権侵害が急増している

・そのような人権侵害の危険が高まっている

・すでに決定されている行動計画と資源ではその状況に効果的に対応できない

・その状況に対し組織として統一して対応する必要性がある

・効果的に対応するため、運動体の大部分を迅速に動員する必要性がある

危機対応態勢の決定がなされると、調査とキャンペーンを充実させるためスタッフが集められ、世界各国のアムネスティ会員は緊急事態に備えた特別行動のために動員されます。近年では、中央アフリカのグレート・レイク地域、コソボ、東ティモール、シエラレオネでの人権侵害に関連して、また911日の米国での攻撃後、危機対応態勢をとりました。

企業(Companies

近年アムネスティは、人権を保護する実効力のある人権基準を促進する活動の中で、ビジネスに対する取り組みを発展させてきました。また、企業に対して、その活動分野で人権侵害を防ぐために発言し行動を起こすように求めています。企業に対する取り組みの情報はキャンペーン・マニュアルの項を参照。

アムネスティの活動の拡大する領域はまた、深刻な人権侵害の起きている国に対する軍事・治安・警察技術移転に関係する等の人権侵害に直接関わる活動をおこなっている企業に変化を求めるキャンペーンを必要とします。

企業がアムネスティのマンデイト(責務)に関する人権侵害に関与していて、その努力が企業の行動に変化をもたらさず、アムネスティの調査によって企業による人権侵害の証拠を明らかになると、そのときは、そのケースにおいて、事務総長の権限によって、非政府組織との広範な連合で、アムネスティは企業のボイコットを支援するかもしれません。

経済関係や軍・治安部隊・警察に対する武器等の移転の項も参照。

規約(Statute

アムネスティの規約は諸原則をまとめた公式なもので、アムネスティの活動と方法を規定します。規約修正は国際評議員の3分の2以上の賛成がある場合に可能です。規約はウェブサイト(http://www.amnesty.org)あるいは国際事務局から入手可能です。

キャンペーン(Campaigns

キャンペーンとは、特定の人権状況が改善されるために展開する組織的活動のことです。キャンペーンを戦略的におこなうには、情報や資源に基づき、特定の目的達成のために最も有効な具体的活動を選択する必要があります。

アムネスティはキャンペーンを展開する組織です。アムネスティの会員は、政府やその他の組織に対して人権侵害を止めさせ、人権意識を高めるために世論を喚起することに努めます。アムネスティのキャンペーンは、直接的アピール、メディアへの働きかけや出版活動、デモ行進、人権教育、自国政府や自国の企業への働きかけといった方法でおこなわれます。

アムネスティのいう「キャンペーン」は、特定の目的達成のために多様な方法を用いて、支部、グループ、ネットワークが連携して多くの国でおこなう大規模な人権擁護活動です。現在、いくつかのテーマ別または問題別のキャンペーン・モデルを開発中ですが、そこには、アムネスティの関心対象となるグローバルな人権侵害のほぼすべてが含まれています。

キャンペーンに関するその他の情報については、キャンペーン・マニュアルの項も参照。

キャンペーン・マニュアル(Campaigning manual

アムネスティ・インターナショナル・キャンペーン・マニュアル(AI Index: ACT 10/002/2001)には、よく尋ねられる質問への答え方や、役に立つ助言、間違いやすい点、チェックリスト、励みになるような実例、情報源といった、キャンペーンを進めるために必要な原則的な情報が載っています。このマニュアルは、支部あるいは国際事務局を通じて入手することができます。

救援金・救援物資(Relief

人権侵害の被害者がその被害の影響に対処していくのを助けるために、人権侵害の犠牲者あるいはその扶養家族に、限定された範囲でですが、アムネスティから資金や品物が提供されることがあります。

アムネスティは、現在良心の囚人であったり以前にそうであったりした人とその扶養家族、治療を受けている拷問の犠牲者、失踪した人びとの家族、外国に移って安全を見つけるために助けが必要な超法規的処刑の危機にある人びと、危険な状況の国へ帰される危機にある難民、に対して、救援金や救援物資を提供します。

救援金・救援物資の要請は、ケース・バイ・ケースで考えられます。次のような場合に、アムネスティの救援金が(貸与を含め)贈られる必要性があります。一家の稼ぎ手が刑務所にいる家族、授業料、刑務所訪問のための旅費、刑務所内の飲食のための薬あるいは錠剤、衣服・毛布・化粧品・筆記具のような基本的必需品、良心の囚人の釈放を手助けするための法的援助、釈放された囚人の社会生活への対応、拷問の犠牲者のための医療的・精神医学的治療。

救援金を送るかどうかの決定は、微妙な問題であることが多く、かえって人びとを危機に追い込んでしまうような場合もあります。政府当局は、個人に対して金銭や物資を送られるような努力を好ましくないと思う場合が多いでしょう。グループは、救援金の受領者や送られた金額、使われた送金ルートを公表してはいけません。また、直接に関与している人以外にはこの情報を公開してはいけません。アムネスティ・グループあるいは支部には、救援金を集めて送るプログラムを宣伝したりそのための財政プロジェクトの成果を大きくしたりするために、救援金が効果をもたらしたような「良いニュース」としての情報を公表してもよい例外的な状況もありえます。こうした例外的なケースについては、必ず国際事務局に相談しその情報に従って行動してください。

緊急行動(Urgent Actions)

アムネスティの緊急行動計画は、生命や身体の安全が危機にある人びとを保護するために、簡潔な通知で迅速な行動を起こせる会員たちの世界的なネットワークをすばやく動員できるところに依拠しています。緊急行動は、拘束中に、拷問あるいは処刑が差し迫って、または「失踪」の危険にある囚人を救援するために出されます。また、囚人が拷問され、あるいは刑務所の状態が生命に危険を及ぼし、囚人が直ちに医療措置を必要としているケースにもこうした要請が出されます。緊急行動を要するこのようなケースの情報は、国際事務局から支部のコーディネーターに送られ、そこからネットワークに入っているグループや個人に送られます。彼らは手紙書きの対象である当局に、できる限り迅速に、簡潔な内容の手紙、ファックス、Eメイルや電報を送ります。緊急行動はEFAI(フランス語プログラム)やEDAI(スペイン語プログラム)によって直ちにフランス語やスペイン語に翻訳されます。こうした言語で活動しているネットワークがこのような活動へ確実に参加できるようにするためです。

国際事務局は毎年800以上の緊急行動を出し、その情報を更新しています。ひとつの緊急行動に対して、48時間以内に何百もの要請が送られます。アムネスティは、(同一国の)3件の緊急行動に1週間で3万の要請が送られ、1件の緊急行動に3ヵ月間で2万の要請が送られたという事実を把握しています。3分の1以上のケースで何らかの改善が報告されています。死刑が減刑され、「失踪」していた囚人が「現われ」、逮捕が確認され、拘束されていた人が釈放され、重病の囚人が医療措置を受けることができたという報告です。

国別行動プログラム(Country Action Programs

アムネスティは特定の国や国ぐにの人権侵害を防ぎ反対するために、支部や国際事務局によって継続的な活動をおこなう国別行動プログラム(CAPs)のシステムを開発しています。国別行動プログラムは、長期間にわたって取り組むべき問題の場合もあったりしますが、ひとりひとりの被害者に焦点を絞った活動をおこない、キャンペーンの方が適切ならばキャンペーンに発展させることもあります。アクション・ファイル、地域別行動ネットワーク、国別行動に関する現行の活動は、国別行動プログラムとして展開していきます。

軍・治安部隊・警察に対する武器等の移転(Military, security and police transfers

アムネスティは、人権侵害を助長すると当然予想されるような、政府あるいは武装政治組織、民間企業による軍・治安部隊・警察に対する武器(MSP)、兵器、技術や訓練の移転に反対します。

アムネスティは、そのような機器あるいは技術の取引または移転を規制する、人権を基盤とする国家および地域的、国際的な法規制の導入を支持します。また、人権侵害に悪用されると考えられる場合、各国政府あるいは武装政治組織にそのような器具あるいは訓練を拒否し、供給側政府および企業に対し、そのような移転の責任を担うよう求めます。

アムネスティのMSP移転に対する取り組みの目的は以下の通りです。

・人権侵害を助長すると思われる移転を阻止すること

・人権侵害を助長すると思われる国際的関与を明らかにし、そのような侵害を未然に防ぐため国際的な行動を求め圧力を強化すること

・人権侵害に責任を負う軍・治安部隊・警察に対し直接、圧力をかけること

大きな目的は、軍・治安部隊・警察に対する武器等の移転を国際的に監視、規制、管理することです。

制裁、自国条項の項も参照。

計画的かつ恣意的殺害(Deliberate and arbitrary killings

不法な殺人の項を参照。

経済関係(Economic relations

政治的課題に対する経済的利害の影響力と支配力は、日増しに増加しています。しかも、経済的な発展には人権への配慮が欠けてしまいます。アムネスティは、経済的な行動主体(企業や国際金融機関、国際的ないし地域的な経済フォーラム、他の関連NGO、政府間組織など)は十分な説明責任を負い、その活動によって人権が侵害されることのないよう保証しなければならないと考えています。

アムネスティは経済関係と人権についての活動を構築しつつあり、経済活動が招く人権に関連する重大な結末について責任を負うべきだとします。また、人権を保護促進する具体的手段について同意し実行するような経済主体を増やしていくことを目指しています。

アムネスティの経済的分野に対する活動は、企業、国際金融機関、経済発展支援など多くの領域に及んでいます。

経済的・社会的・文化的権利(Economic, social and cultural rights) 世界人権宣言に定められている人権は、市民的・政治的権利と経済的・社会的・文化的権利との二つに分類されます。経済的・社会的・文化的権利は、労働、健康、教育、住居、食料のような権利に関係します。これらの権利は、単に各国政府に期待されることの列挙ではありません。国際人権基準によってこれらの権利を保障する法的義務が生じているのです。国際人権基準には、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(1966)や、国際労働機関(ILO)、国連教育科学文化機関(UNESCO)のような専門機関によって規定された規範が含まれます。

経済的・社会的・文化的権利は、道徳的義務だけでなく、法に基づいているものです。多くの国の裁判例は、これらの権利が法的救済手段を通じて実現しうるものであることを明らかにしてきています。憲法改正によってこれらの権利が付け加えられる傾向にある国も多くあります。さらに、ILOやユネスコ、アフリカや米州の地域機構に、経済的・社会的・文化的権利の侵害を個人や集団が訴え出ることを認めている国際文書も多くあります。

冷戦期のイデオロギー化された議論の執拗な名残りの一つは、2つの組への人権の人為的区分です(この区分は依然として一般的なものです)。近年、国連は世界人権宣言で認められているすべての権利の相互依存性と不可分性を再確認しています。人間には自分の意見を表明することもきれいな水を手に入れることも同じように必要であり、女性にはドメスティックバイオレンスから守られることも、クレジット利用の権利を認められることも同じように必要です。子どもも、死刑から守られると同様に教育への権利を認められなくてはなりません。

アムネスティは常にすべての人権の相互依存性と不可分性を認め、すべての人権の促進のために活動してきましたが、これまでその活動の主たる焦点は、アムネスティの責務に定義されていたように、市民的・政治的権利でした。2001年、国際評議員会議で新しい責務が採択されました。この責務のもとで、アムネスティは現在、身体および精神が保護される権利、良心の自由や表現の自由に対する権利、差別されない権利の重大な侵害を構成する、経済的・社会的・文化的権利の侵害に反対する活動もしています。

経済発展支援(Economic development assistance

アムネスティは、その発展計画および活動に人権条項を含めるように政府に求めます。発展援助が人権の実現をめざし、人権侵害にならないことを保証しなければなりません。

アムネスティは、そのアイデンティティのゆえに差別されている集団を目的とした事業を計画、実行することを寄贈者に求め、そして人権の危機を防ぎ、危機が終わったとき市民社会を再建することを目的とする手段を要求します。 アムネスティは、寄贈者や貸主に、その発展計画や資金貸与政策を開示し、透明にし、責任を持つこと、そしてその計画の人権への影響を監視すること、を求めます。

刑務所の状態(Prison conditions

刑務所では世界中で、囚人と拘禁者が健康および生命を脅かされ、残酷で、非人間的で、品位を貶めるような扱いあるいは刑罰を受けています。彼らはおそらく適切な栄養も与えられず、医療処置を受けることもできないままでいるでしょう。また、十分な換気もされず光の当たらぬ暗い中で、暖房ないかもしれません。監房がすし詰め状態で、睡眠をとるために横になるのを順番待ちしなければならないかも知れません。衛生状態はひどく、健康には非常に

悪い状況です。刑務所に入っている人びとの重病率や死亡率の高い国がたくさんあります。

アムネスティは各国政府に対し、国際的な人権基準、特に、国連被拘禁者取り扱いのための標準最低規則、および、あらゆる形態の抑留または拘禁のもとにあるすべての者の保護のための国連諸原則にその法と慣習を適合させることを保証することを求めます。アムネスティはつねに緊急行動および医療行動ネットワークを通じて、囚人の生命および健康が、残酷で、非人間的で、品位を貶めるような扱いあるいは刑罰によるひどい刑務所の状態のために危険にさらされている囚人のために活動します。アムネスティは弁護士や医者、家族が囚人と面会できるよう、また、刑務所やその他の拘禁施設の状態が国際基準を満たすよう、独立した調査をすることを求めます。

隔離拘禁、独房拘禁の項を参照。

拘禁中の死亡(Death in custody

拘禁中の死亡は、司法や軍のもとで収監されている被拘禁者が、刑務所や他の拘禁場所、病院などの場所で、合法的あるいは非合法的に死亡してしまうことです。特定の状況下では、拘禁中の死亡は超法規的処刑にあたる可能性もあります。拘禁中の死亡は、拷問あるいは残虐、非人道的又は品位を傷つける取り扱いあるいは刑罰の結果であることもありえます。不十分な栄養しか与えられなかったり、非衛生的な拘禁状態であったり、医療的な処置をしなかったために起こることもあります。

アムネスティは、拷問あるいは虐待や超法規的処刑あるいは人権侵害の証拠がある場合、拘禁中の死亡について、迅速かつ効果的で、不偏不党な視点での独立した調査を求めます。

アムネスティは、拘禁中に人権侵害が起きないように予防措置がとられることを求めます。その予防措置の例は、以下のとおりです。

・すべての被拘禁者が拘置後迅速に裁判の手続きをとれることを保証する。

・隔離拘禁ではなく、家族や弁護士、医者との面会を認める。

・拷問を通じて得られた自白や証拠は、法的手続きに援用されないことを保証する。

公正な裁判(Fair trial

公正な裁判の基本的基準は国際人権基準に明記されています。これらの基準には、以下の被告人の権利を含みます。

・起訴内容を速やかに告げられること

・法に照らして有罪であると証明されるまでは無罪であると前提されること

・法的防御をおこない、自ら選任する弁護人の弁護を受けること

・自己の裁判に出席すること

・自己に不利な証言をおこなう証人に反対尋問をおこなうこと

・自分に不利な証言や罪の自白を強いられないこと

・独立した公正な裁判を受けられること

多くの国では、囚人は、こうした国際的に合意された基準に違反する不公正な裁判で有罪とされています。そのような裁判では、尋問が非公開です、弁護人に被告人の弁護を許可しない(あるいは被告人が弁護人に相談する機会を与えない)、被告人側の証人を認めない、反対尋問を認めない、脅迫や拷問によって得た証言を証拠として採用するといったことがおこなわれています。

アムネスティは、適度な期間内に公正な裁判がおこなわれないような政治囚の拘禁に反対しています。アムネスティは、暴力の行使あるいは扇動によって起訴されている人びとを含むすべての政治囚に対し、適度な期間のうちに公正な裁判をおこなうか、釈放することを求めています。アムネスティは、政治拘禁の理由が「通常」犯罪による起訴である場合を除き、ほぼすべての刑事事件において公正な裁判を求める活動をおこないません。しかし、アムネスティの拷問反対キャンペーンや死刑廃止キャンペーンにおいては、政治事件に限らず公正な裁判基準を強調しています。

さらに詳しい情報は「Fair Trials Manual (AI Index: POL30/02/98)」の項を参照。

拷問(Torture

拷問および他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取り扱い又は刑罰に関する国連条約では、拷問を次のように定義しています。「身体的なものであるか精神的なものであるかを問わず人に重い苦痛を故意に与える行為であって、本人もしくは第三者から情報もしくは自白を得ること、本人もしくは第三者がおこなったかもしくはその疑いがある行為について本人を罰すること、本人もしくは第三者を脅迫しもしくは強要することその他これらに類することを目的として又は何らかの差別に基づく理由によって、かつ、公務員その他の公的資格で行動する者により又はその扇動によりもしくはその同意もしくは黙認のもとにおこなわれるもの」です。

拷問に関する国連の特別報告者と国連人権委員会は、国際人権文書において拷問および他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取り扱い又は刑罰を禁止し、刑罰として科された体罰も禁止すべきとしています。

国際人権基準で拷問と虐待は禁じられているのみならず、政府も拷問や虐待をおこなっていないと繰り返し否定し

ているが、アムネスティは世界150カ国以上で政府役人による拷問あるいは虐待の報告を受け取っています。拷問は政府の治安戦略の重要な一部であり、反対勢力の意見を抑えこむ国家機構の構成要素となっています。拷問は、情報を得、自白を引き出し、罰し、脅迫し、恐怖をうえつけるために利用されます。また、被害者の品位を傷つけ、拷問をおこなう者を非人間化させます。

こんにち利用されている拷問手法には、鞭や棍棒、親指を締めあげる器具といった原始的な道具を使用する方法と、電気を利用するなど現代的なもの、心理的威嚇などの高度なもの、幻覚や筋肉のけいれん、麻痺を引き起こす薬物の使用といった近代的なものがあります。被害者は殴打や火傷、レイプ、窒息のほか、模擬処刑をされることもあります。

国際人権基準は国家による行為を規定し、政府権力の行使に制限を加えるだけでなく、国家に対し、その他の主体による人権侵害を防止するために行動を起こすよう求めます。もし国家がこの義務を果たさない場合は、その人権侵害の責任を負うことになります。国際基準における拷問の概念で規定されるような性質や過酷さを持つ行為(例えば、レイプもしくは家庭あるいは地域社会におけるある形式の暴力)を国家以外の主体がおこなった場合、そして、国家が実効的な保護措置を講じる義務を怠った明白な証拠がある場合、アムネスティはそのような行為は政府が責任を負う拷問であると考えます。

アムネスティはあらゆる場合において拷問を非難します。拷問される恐れにさらされている人がいる場合、アムネスティはそうした人びとを助けるため世界規模で緊急行動を展開します。また、拷問事件に対する普遍的管轄権をはじめとし、拷問に関する国際基準を満たすよう政府に働きかけ、拷問被害者の医療手当てと心理的なケアを支援しています。

2000年にアムネスティは世界規模の拷問廃止キャンペーンを展開し、拷問反対の活動を強化しました。そのキャンペーンでは、予防、免責、差別という3つの主要なテーマに焦点をあてました。最初の報告書には「国家機関による拷問を予防するための12のプログラム」がまとめられています。

国外追放(Deportation

強制的な国外追放の項を参照。

国外追放(Exile

強制的な国外追放の項を参照。

国際刑事裁判所(International Criminal Court

世界中でのアムネスティの経験から、「免責」は、人権侵害が続く最も重要な原因であると言えます。武力紛争を終結させ、復興と和解に取り組み始めた国家において、司法は必要不可欠です。そのために、アムネスティはジェノサイド(大量虐殺)、人道に対する罪、戦争犯罪に対して管轄権を持つ公正かつ公平で独立した国際刑事裁判所の設立を求め、800以上の他の非政府組織(NGO)と協力して長年にわたるキャンペーンを展開してきました。

19987月、ローマにおける国際連合会議で、120カ国の政府が国際刑事裁判所設置規程を採択する投票をおこないました。60カ国がこの規程を批准すると、常設の国際刑事裁判所が設置されます。アムネスティは、国内の裁判所が正当な裁判をおこなう意思も能力もない場合に国際刑事裁判所が正当な裁判をおこなえるよう、同規程の批准を求めるキャンペーンを続けています。

国際執行委員会(International Executive Committee

国際評議員会議で決議された事項は、2年後の国際評議員会議までの期間、国際執行委員会(IEC)によって執行されます。この委員会はアムネスティの活動の全般的な責任を負っています。委員会は9人の委員で構成され、そのうちの1人は財務担当国際執行委員です。国際執行委員会の委員は国際評議員会議において選出されます。

この委員会は世界各国のアムネスティ全体を統率、監督します。その基本的任務は規約に定められており、アムネスティを代表する国際的な決議、健全な財務方針、統合戦略計画(ISP)の執行、規約との整合性、人的資源の発展、各支部、準支部、その他の主体に同委員会へ報告書を提出するよう指導するといったことが含まれます。

国際執行委員会は年に数回会議をおこない、その議事録は全支部に送付されます。また、委員会の任務を遂行したり方針に関する助言を求めたりするために、常設委員会を含む各委員会あるいは準支部またはフォーラムを設立することもあります。

国際事務局(International Secretariat

アムネスティの活動の中心であり、ロンドン、ベイルート、コスタリカ、ジュネーブ、香港、カンパラ、ニューヨーク、パリに事務所を有します。地域発展担当などの国際事務局職員は、それぞれの担当地域を拠点として活動しています。国際事務局には320人以上の有給職員がおり、50カ国以上から大勢のボランティアが集まります。調査および発展業務、キャンペーンには、国際法やメディア、技術部門などの専門家の助けを得て専門スタッフが従事します。IS(国際事務局)は、世界各国の会員が展開する多くのキャンペーン活動を先導して組織的に展開します。

国際人権規範文書(International human rights instruments

国際人権規範文書は、人権や基本的自由を擁護し、これを推進する諸規則を含む政府間の合意を示す文書です。それらには、拷問および他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取り扱いまたは刑罰に関する条約のような法的に拘束される条約から、世界人権宣言など政府間組織によって作成された宣言や原則、ガイドライン、規則のような、条約ではない基準も含まれています。これらの文書は、アムネスティ活動の基礎であり、こうした法文書によってアムネスティの要求は支えられています。

国際人権機構、国際人権諸基準、国際人権諸条約の項を参照。

国際人権諸基準(International human rights standards

国際人権基準とは、国際人権文書で定められた、世界中の政府が守るべき規範のことです。

国際連合憲章の下で、国連加盟国は、すべての人の人権と基本的自由の尊重を促進し奨励するために国際的に協力することを誓約しています。このような、人権保護のための国際的責任こそが、アムネスティ活動の前提です。アムネスティは手紙を出したり、アピールをおこなったりする場合、国際人権基準を取り上げ、各国政府にそれを守る義務があることを指摘します。都合が悪くなると、アムネスティは「国内問題に干渉している」という国もありますが、アムネスティはこうした主張を認めません。人権の保護は、すべての人の関心事なのです。

国際人権文書、国際人権メカニズム、国際人権諸条約の項を参照。

国際人権条約(International human rights treaties

国際人権条約は法的拘束力をもつ国家間の合意です。

国家は、条約によって拘束されることに同意するかどうかを決定します。国家が条約上の義務を引き受けるには、「加入」(1段階)か「署名と批准」(2段階)のいずれかの手続をとることになります。国家が条約に加入する場合には、事前に署名することなく、条約に完全に拘束されることを約束することになります。条約への署名は、国家が近い将来に批准をする意思があることを示すものであり、当面は条約の趣旨および目的を阻害するような行為を避け、最終的に条約を批准するかどうかを決定するというものです。条約を批准するというのは、加入の場合と同じく、その規定に完全に拘束されることを決定するということです。

国連の条約のテキストや最新の批准状況は、<http://www.unhchr.ch/>に掲載されています。国際的なシステムと並行して、地域的な人権文書その遵守を確保するための制度などが、ヨーロッパ評議会やアフリカ連合、米州機構などにおいて発展してきています。

国際人権文書、国際人権メカニズム、国際人権諸基準、世界人権宣言の項を参照。

国際人権メカニズム(International human rights mechanisms

国際人権メカニズムには、まず、国際人権条約にもとづき、締約国が受け入れた国際人権基準の実施状況を監視するために設置された機関があります。たとえば人種差別撤廃委員会は、「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約」の各国の実施状況を監視するためのメカニズムです。

また、加盟国の人権状況を監視し、報告するために政府間組織によって任命された機関や代表も国際人権メカニズムです。たとえば、国連の拷問に関する特別報告者がそうです。可能な場合には各国を訪問して人権状況を直接に検討し、政府に対して個別の事案を取り上げたりもします。

アムネスティは、常にこうしたメカニズムに対して情報を提供するとともに、こうしたメカニズムに対して情報を提供しようとする人びとのためにガイドラインを作っています。

国際人権文書、国際人権諸基準、国際人権諸条約の項を参照。

国際人道法(International humanitarian law

「戦争法」とも呼ばれる国際人道法は、軍事行動の手段を限定し戦争の影響を緩和する原則および規則です。また、文民や敵対行為に従事しなくなった者(負傷兵あるいは降伏した兵士など)に配慮する義務を戦闘員に課すものでもあります。

こうした規則の多くは、1949812日のジュネーブ条約および1977年の二つの追加議定書などの国際条約に定められています。

各国政府の行為に対するアムネスティの働きかけは、国際人権基準と国際人道法に依拠しています。人権条約の締約国ではない武装政治組織による人権の蹂躙についてアムネスティが活動するにあたっては、敵対行為をおこなうすべての当事者が遵守義務を負う国際人道法基準に言及することが有用です。

国際評議員会議(International Council)(略称、世界大会)

国際評議員会議はアムネスティの最高決議機関です。この会議はアムネスティの規約を修正する権限を持っています。すべてのアムネスティ支部および組織体の代表がこの会議に出席します。2年に一度おこなわれます。2009年以降は2012年、2015年・・・というふうに3年に一度となります。約500人が参加し、10日間ほどの日程でおこなわれます。この会議の主な任務は、アムネスティの国際規約に定められています。(1)戦略に焦点を絞り、(2)アム

ネスティの目指すもの、使命、中心的価値を定め、(3)財政戦略も含めて統合戦略計画(ISP)を決定し、(4)運動体の運営と代表に関する制度や組織を設置し、国際執行委員会(IEC)を含むこれらの組織の構成員を選出し、これらの組織とその構成員の責任を監督し、(5)運動体が合意した戦略や計画の執行状況を評価し、(6)支部や準組織、その他の組織の責任を監督することです。これらの任務は、アムネスティのさまざまな組織の報告を受け、国際執行委員会あるいは支部提出の決議案を議論し決定する会議において果たされます。国際評議員会議はアムネスティの全体方針を決め、その後数年間の活動の枠組みとなる統合戦略計画を決定するものであり、これまでのすべての国際評議員会議はアムネスティ運動の歴史において重要な意義を持つ行事でした。

国内避難民(Internally displaced persons

国内避難に関する国連原則(1998年)は、「国内避難民」を次のように定義しています。「特に武力紛争、広範な暴力的状況、人権侵害または自然もしくは人為災害の結果としてまたはそれらの影響を避けるため自国もしくは常居所地を逃れるかもしくは離れることを強制されもしくは余儀なくされた者またはそうした者の集団であって、国際的に承認された国境を越えていないもの」。同原則は国内避難民の重要な権利として、国の領域内を自由に移動する権利(生活や安全や自由が脅かされた地域から逃れる権利も含むもので、必要であれば他国に逃れることも含む)、逃れてきた地域に強制的に送還されない権利、望む場合にはその居住地に戻る権利、移住を強制する行為の禁止などを掲げています。

アムネスティは、政府および他の権限を有する機関や集団に対して、国内避難民のこうした権利を尊重し、確保するように要求しています。アムネスティは、人びとがある地域に居住することを望んでいるにもかかわらず、その宗教、民族、性、皮膚の色、言語などを理由に、特定地域への強制移住をおこなうことに反対しています。ただしこの責務の遂行にあたって、アムネスティは個別のケースを採り上げることはしません。

コーディネーター(Coordinators

コーディネーターは、特定の国や地域、テーマ、分野、専門技術に関するキャンペーンの助言、支援、助力を提供する役目で、アムネスティ会員か職員が担当します。

コーディネーターは、アムネスティのネットワークシステムの中心で重要な役割を担っています。コーディネーターは、グループ、支部事務所、国際事務局の調査・活動チームと密接に連絡を取りあいます。

調整グループには、支部の活動の中の特定のテーマについて共に取り組むたくさんのコーディネーターが必要です。

国別コーディネーターや調整グループは、特定の国、地域に特化し、その領域のキャンペーン戦略に関してグループと支部の両方に専門的助言を提供することができます。参加しているそれぞれの「地域別行動ネットワーク(RAN)」のためのコーディネーターがいる支部も多いのです。

多くの支部は、キャンペーン広報の領域のための国別のコーディネーターを任命します。コーディネーターは、担当する組織へのアムネスティとしての取り組みを展開し、地域のアムネスティ会員による地域レベルの同じ組織への同時に進められる取り組みとの調整をします。

たとえば、アムネスティのアピールを支持するように組合議長に協力を求める労働組合コーディネーターは、アムネスティ・グループが同じアピールで組合の地域支部に話を持ちかけるように勧めます。

支部や組織のキャンペーン・コーディネーターは、彼らの国における主要な国際キャンペーン活動の調整に責任があります。彼らは、自分たちの社会の必要性のために国際事務局が中心になって作成した資料を採用する際に、彼ら自身の聴衆にメッセージを伝え、アムネスティ会員や知人やさらに広範な人びとを動員する際に、重要な役割を担っています。

子ども(Children

18歳未満の者を子どもという国際法上のコンセンサスができつつあります。

国連の子どもの権利に関する条約第1条は、国内法の下でより早く成年に達する場合を除き、子どもを18歳未満のすべての者と定義しています。しかし、国内法によって決定される成年の年齢は、国際基準から著しく逸脱してはなりません。事実、国連子どもの権利委員会によれば、成年年齢に関する条約規定は18歳未満の者に対して幾分かの自律性や一定の問題について選択の自由を認めるが、それでもなおその者は条約の保護を有している、と述べています。

子どもに関するアムネスティの活動は、優先的に進められてきました。子どもの権利条約の枠組みに従って、アムネスティは子どもに関する活動を、刑事裁判制度の中の子ども、武力衝突の中の子ども、社会や家族の中の子ども、という三つの重要なテーマで展開しています。この子どもに対する取り組みは、アムネスティ本来の活動の強みを新しい活動分野に結びつけ、市民的・政治的権利と共に、経済的・社会的・文化的権利の領域にまたがる人権侵害に取り組むことを可能にしています。 「子ども兵士」の項も参照。

子ども兵士(Child soldiers

アムネスティは、志願制であろうと徴兵制であろうと、子ども(18歳未満の者)を兵士としたり武力紛争に参加させ

たりすることに反対します。子どもを武力紛争に参加させることは、子どもの身体と精神を害する行為であり、政府によるものであれ武装政治集団によるものであれ、一律に反対します。

アムネスティは、1998年に国際的に活動している他のNGOとともに「子ども兵士廃絶のための連合」を設立しました。20005月には国連総会で、武力紛争への子どもの関与に関する子どもの権利条約選択議定書が採択されましたが、その際にはこの連合が重要な役割を果たしました。

この選択議定書は、子どもの武力紛争への直接関与と政府による子どもの強制徴兵、その他の非政府武装組織による子どもの徴兵に関して、その最低年齢を15歳から18歳に引き上げました。アムネスティは、各国政府に対してこの条約および選択議定書への調印と批准を呼びかけています。また、政府が18歳未満の子どもを志願兵として徴兵することに反対しており、各国政府が選択議定書を批准する際に18歳を志願兵徴兵の最低年齢として宣言することを求めています。 さ

財政活動(Fundraising

アムネスティは人権に関するキャンペーン活動や個別ケースに関する活動に政府の資金を受け入れることはなく、会員の会費や支援者の寄付によって資金を賄っています(ただし、人権教育について政府の資金を受け入れることはあります)。アムネスティが資金的に自立するには、運動に関わるすべての人の活動において財政活動は重要な部分を占めます。寄付はキャンペーン活動の経費を賄うだけでなく、そのキャンペーンの重要な一部を担う。チャリティコンサートなどの企画は、資金調達だけでなくアムネスティ活動の広報にもなります。支部やグループのほとんどの対外向けの企画や活動には、街頭募金やアムネスティのTシャツやバッジ、ポスターの販売コーナーの設置など、財政活動の機会を設けることができます。財政活動は地域の人びとにアムネスティ活動に参加してもらう絶好の機会です。くじびきやスポーツ大会などの賞品として地元企業によるグッズやサービスの提供、あるいは、地域の有名人のゲスト出演、オークションへの芸術家や作家の作品提供があるかもしれません。ミュージシャンのチャリティコンサート参加、資金作り水泳大会への子どもの参加があるかもしれません。すべての人には何らかの形での協力が可能でしょう。アムネスティのどの組織が資金を受け取るにしても、その存続を危うくせず、一定の資金源に依存しすぎず、活動の自由を制限しないことが保証されることが重要です。

グループや支部の財政活動に関する詳細は国際事務局のファンドレイジングチームに問い合わせるか、「アムネスティ・インターナショナルの資金受け入れと財政活動に関する改定ガイドライン案」(AI インデックス:ORG 72/05/99、英文)の項を参照のこと。財政活動のアイデアについてのアドバイスはキャンペーン・マニュアルの項を参照のこと。

差別(Discrimination

世界人権宣言第2条は、「人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治上その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、門地その他の地位又はこれに類するいかなる事由による差別をも受けることなく」すべての人は同宣言に述べられた権利と自由とを享受する資格があると謳っています。

差別なく人権を享受する権利は、国際人権法に内在する最も基本的な権利であり、事実上すべての主要な人権に関する法に記されています。このことは、往々にして、人種や宗教、性などの区別による偏見の故に人びとが人権侵害を受けるという事実を反映しています。

アムネスティは、差別を受けない権利の重大な侵害に反対します。人種や性、性的指向、宗教、民族などを理由に差別された結果として、その出自の故に拷問や不公正な裁判、強制的追放、死刑などの人権侵害を受けるケースを活動対象とします。そのような理由によって拘禁されている人びとを「良心の囚人」とします。

政府によるものだけでなく、民間人や民間組織による差別を防止する措置を講じるよう、アムネスティはすべての国に訴えます。「あらゆる形態の人種差別撤廃に関する国際条約」や「女性に対するあらゆる形態の差別撤廃に関する条約」(女性差別撤廃条約)などを批准していないのであれば、それらの差別撤廃国際基準を批准することにより、また、国内法で差別を違法とすることにより、各国は差別の防止を実現できます。

先住民族、人種差別、性的指向、女性の項を参照。

残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取り扱いまたは刑罰(Cruel,inhuman or degrading treatment or punishment)

残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取り扱いまたは刑罰は、国際人権法、さらには国際人道法(例えば1949年制定ジュネーブ四条約共通の第三条)でも明確に禁止されています。

残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取り扱いまたは刑罰には、暗い監房での拘禁や被拘禁者の基本的欲求を抑制し拒絶するための拘束具使用などがあります。過度ではない形態の肉体的虐待も、残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取り扱いに該当する場合があり、ある種の体罰もこの広範な概念に含まれることがあります。

拷問とは、こうした取り扱いのうち最も過激で意図的なものであり、この区別は必ずしも明確ではありません。アムネスティは拷問だけでなく、残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取り扱いまたは刑罰にも反対します。

国際法には、残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取り扱いまたは刑罰の厳密な決定要因に関する最低限の指針が提示されています。「拷問およびその他の残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取り扱いまたは刑罰を禁止する条約」(拷問等禁止条約)ではこの用語を定義していません。「あらゆる形態の抑留または拘禁のもとにあるすべての者の保護のための諸原則」(被拘禁者保護原則)では、虐待に対してできるだけ幅広い保護を提供するため、この用語は広く解釈すべきであるとしています。

恣意的拘禁(Arbitrary detention

世界人権宣言や市民的および政治的権利に関する国際規約によると、何人も恣意的に逮捕されたり拘留されたりすることはありません。国連恣意的拘禁に関する作業部会は、次の三種類のケースに「恣意的」と自由の剥奪を記述しました。

1) 拘禁の法的根拠がない場合。これには、起訴あるいは裁判もなくあるいは釈放のための法的手続きにもかかわらず捕らえられている人びと、あるいは刑期満了後も依然として刑務所に入れられている人びと、を含む。

2) 国内の基準下で適法の逮捕や拘禁は、それにもかかわらず国際的基準化においては、恣意的であるかもしれない。たとえば、逮捕の根拠となっている法律があいまいで過度に広範なものである場合、あるいは表現の自由のような他の基本的基準の侵害である場合。

3) 弁護士選任の権利のような拘禁された人の公正な裁判の権利が深刻に侵害されている時。

ジェノサイド(Genocide

1948年に制定された国連ジェノサイド犯罪の防止と処罰のための条約(以下ジェノサイド条約)では、ジェノサイドを「国民的、人種的、民族的又は宗教的集団の全部又は一部を破壊する目的をもっておこなわれた」以下のような行為と定義します。それは、集団の構成員を殺害したり、重大な肉体的ないし精神的危害を加えること、全部又は一部に肉体的破壊をもたらすことを意図した生活条件を集団に対して故意に課すること、集団内における出生を妨げたり、集団の子どもを他の集団に強制的に移すことです。

アムネスティは各国に対し、条約その他の国際基準に従い、ジェノサイドを防止し処罰するため、各国がその義務を果たし権限を行使するよう求めています。国際刑事裁判所はジェノサイドについても管轄権を有しており、規程の中で「国際社会全体にとって、最も重大な犯罪である」としています。アムネスティはあらゆる国家に対し、普遍的管轄権を行使してジェノサイドをおこなった可能性のある被疑者を裁判にかけるよう求めています。

自国条項(Work on own country

アムネスティは人権の保護は国際的な問題であり、単なる国家レベルの責任問題ではないという信念を基に設立されました。運動体の独立性と中立性を維持し、会員と組織の安全を確保するため、アムネスティは、会員と職員が自国の人権侵害に関して行動できる活動範囲を定めた方針(「自国条項」として知られる)を維持してきました。

運動体の組織と、各部署間での責任分担は、すべての国で一致するように構成されています。アムネスティの全支部と調整組織は、国際組織から供与あるいは承認された資料を基に、国際的運動体の一部として活動します。ここ数年、「自国条項」方針は何度も見直されてきました。2001年まで、会員は以下のことについてのみ取り組むことができました。

・学校や大学、地域社会で全国的、地域的人権教育プログラムを取り入れること

・人権に関する法律と政策の改善を求めるロビー活動

・自国での死刑廃止活動

・国際人権条約の批准を求めるロビー活動

・自国を含む世界各国に関するアムネスティ国際報告書の翻訳と配布

・庇護希望者と難民が人権侵害を受ける恐れのある国へ送還されないようにする対策

・人権侵害の恐れのある国への軍事、軍・治安部隊・警察に対する武器等の移転反対活動(軍・治安部隊・警察に対する武器等の移転の項を参照)

2001年の国際評議員会議で、以下の場合においては、自国で起きた特定の人権侵害について支部が活動できるようになりました。

・支部の理事会が支部会員と協議の上、各支部で確立された民主的手続きに従って決定された場合

・実施の同意を得た活動が、国際事務局により承認された調査および資料に基づく場合

・この活動が、当該国に対する発展戦略を含む国際的な国別戦略の範囲内であり、当該支部と国際執行委員会(IEC)の間の適切な合意の文脈内でおこなわれる場合

自国条項に関わる活動をおこなう支部は、他の国々で起きている人権侵害への取り組みと平行しておこなうことを明らかにする必要があります。また、試行期間中、国際執行委員会は、関心を有する支部から一定数の支部を選び、自国内の特定の問題への取り組みを委託するか、あるいは調査およびキャンペーン資料の作成を委託することが決定されました。

強制的な国外追放(Forcible exile

政府が自国から出国することを個人に強制したり、すでに国外にいる個人であれば、自国に帰還させないこと。

アムネスティは、武力紛争時における大量追放を含め、政治、宗教あるいは他の良心に基づく信条、民族、性別、肌の色、言語を理由として公式手続きとして科される強制的な国外追放に反対します。国際人道法に則り、アムネスティは、あらゆる場合において、軍事占領下にある領域からの追放に反対します。この方針は、いったん逃げたものの、その後帰還を望み、当該政府が帰還を妨害するという状況にある難民にも適用します。

自国政府への働きかけ(Home government approaches

アムネスティの各支部やグループ、会員は、自国の政治指導者を動員して支援を得ることがあります。政治家や政府高官は、国連や地域的な政府間組織を通して、アムネスティが活動の対象とする他国政府に影響を及ぼしたり、国際人権諸条約や基準に関する交渉に助力するためにその影響力を行使することができます。

また、会員は、自国の幅広い問題に関して自国政府に働きかけをします。自国政府への働きかけの範囲は最近拡大され、人権や難民、軍・治安部隊・警察に対する武器等の移転に関する法制度から、支部と国際執行委員会の間で合意された範囲において自国内の特定の人権侵害を含めるようになりました。

さらに詳しい情報および自国政府に対するロビー活動に関する助言についてはキャンペーン・マニュアルの項を参照。

死刑(Death penalty

死刑の適用とは、裁判所によって有罪認定された犯罪行為に対して、法定刑として宣告された死刑を執行することです。アムネスティは、いかなる場合においても例外なく死刑に反対します。死刑は世界人権宣言に規定された生きる権利の侵害です。死刑とは、司法の名のもとに計画的で無情に執りおこなわれる国家による殺人であり、究極的に残虐で非人道的または品位を傷つける刑罰です。死刑を廃止すべき理由は他にもあります。誤判の場合には取り返しがつきません。その結果、多くの無実の人びとが死刑を執行されてきました。また、貧困あるいは人種的、民族的に差別された人びとに対して、比較的多く死刑が適用されるという事実があります。さらに、政治的弾圧の手段としても利用されます。そして、死刑が他の刑罰以上に、効果的に犯罪を抑止するという実証は未だに示されていません。アムネスティが死刑に反対しはじめた時代には、死刑廃止を明言した国際的文書はありませんでした。その後、死刑廃止を規定する3つの国際条約が起草されました。

・ヨーロッパ人権条約第六議定書(1983年、欧州評議会にて採択)

・市民的政治的権利に関する国際規約の第二選択議定書(1989年、国連総会において採択)

・米州人権条約死刑廃止選択議定書(1990年、米州機構総会にて採択)

20世紀はじめ、死刑を廃止していた国はわずかに3カ国でした。その後100年を経て、世界の半分以上の国が法律上ないし事実上の死刑廃止国となりました。この10年、平均すると毎年3カ国以上が死刑を法律上廃止したことになります。まず、通常犯罪について死刑を廃止し、次にすべての犯罪について死刑を廃止しました。この傾向は、国家が人間を殺す刑罰である死刑以外に、効果的な刑罰があることを示唆します。

アムネスティは、送還された場合に死刑を執行される可能性がある場合は強制送還に反対します。しかしながら、犯罪者が裁判で裁かれるのを妨げるわけではありません。アムネスティの関心は、死刑を適用しないことにあります。ケースによっては、送還元の政府に対し、送還先の政府に死刑を適用しないという保証を求め、十分に信頼できる実効的な保証が得られなければ送還しないよう要請することもあります。

ノン・ルフールマン、人種差別、超法規的処刑の項を参照。

「失踪」(‘Disappearance

アムネスティにとって「失踪」とは、人が国家機関により拘束されたと信ずる相当な理由があるのに、当局がその拘束を否定するためその所在や運命が不明になり、その結果として被害者が法の保護の外に置かれてしまうことをいいます。「失踪」という言葉は、これらの人びとは単に消えただけだという政府の説明をアムネスティが受け入れていないことを示すために、かぎカッコつきで表記されます。

アムネスティは、この定義にあてはまり、政府勢力がかかわる場合にのみ、「失踪」という言葉を用います。政府と結びついていない武装政治集団によって人びとが誘拐され、あるいは監禁された時には、たとえば「数人の人びとが誘拐され行方不明である」というように、別の記述的表現を用います。

「失踪」と誘拐の被害者の親族が受ける精神的苦しみは特別のものです。被害者の生死が判断できず、死別と向き合うこともできず、年金や相続といった法的・日常的な問題も解決できないのです。親族にとって、「失踪」は終わることなく続いていきます。

アムネスティは、あらゆる場合において「失踪」に反対します。この基本的人権の甚だしい侵害は、他の侵害を覆い隠すのに役立つものです。被害者は起訴も裁判もないままに拘禁されているだけでなく、しばしば、国家機関による秘密の拘禁中に拷問されたり、殺害されたりする、大きな危険にさらされています。

隔離拘禁と超法規的処刑の項も参照。

市民的・政治的権利(Civil and political rights

世界人権宣言で述べられている人権は、市民的・政治的権利と経済的・社会的・文化的権利の2つに分けられます。市民的・政治的権利は、法の前の平等、公正な裁判、表現・運動・集会・結社の自由のような権利、あなたの国の政府が責任を持つ権利であり、市民的・政治的権利に関する国際規約(ICCPR)を含む多くの国際人権文書の中に拘束力のある法的表現を与えられています。自由権規約委員会は、市民的・政治的権利に関する国際規約に従って、国家を監視し、国家に違反の責任を取るよう要求するために創設されました。

アムネスティは人権の相互依存性と不可分性を認識し、人権を促進するために活動してきましたが、その調査とキャンペーン活動の主な焦点は、アムネスティの責務に定義されているように、市民的・政治的権利でした。しかし、2001年に国際評議委員会議で新しい責務が採択され、身体および精神が保護される権利、良心の自由・表現の自由に対する権利、差別されない権利、のすべての重大な侵害に反対するように、アムネスティのマンデイト(責務)を拡大しました。

主要言語(Core languages

アムネスティは、アラビア語、英語、フランス語、スペイン語、という4つの主要言語を使って活動します。

「非集中化ユニット」の項を参照。

商取引(Businesses

企業の項、参照。

常設委員会(Standing committees

現在、国際執行委員会(IEC)には4つの常設委員会があり、アムネスティ活動を国際的に円滑に運営するために召集されます。常設委員会では特定の議題について検討、提言をし、決定をします。

マンデイト(責務)委員会-マンデイト(「マンデイト」の項参照)を対象とします。マンデイト(責務)の範疇か否か判断が微妙なケースの解釈から、マンデイト(責務)全体の見直しまでを扱います。

・調査活動委員会-キャンペーン戦略や広報計画、手法や活動の評価といった活動計画を対象とする。

・組織発展委員会-支部設立や発展、ファンドレイジングなど組織に関わる事項を対象とする。

・人事・情報・財務委員会-監査や財務管理など財務に関わる事項を対象とする。

各委員会には、通常ボランティアで構成される7人の委員がいます。委員は、2年の任期を3期まで続けて就任でき、支部の推薦を得てIECから指名されます。

2001年の国際評議員会議で、IECの任務を補佐する組織が必要であるということから、IECはそのような役目の委員会、またはその他の形態の組織あるいはフォーラムを設立する条項を規約に設けました。したがっていずれ常設委員会はその他の委員会に置き換えられていきます。

女性(Women)

アムネスティ・インターナショナルは、「女性の権利は人権である」との原則を確認し、世界中で女性が自らの人権のために闘うことを支援してきました。アムネスティは、女性に対してすべての人権と基本的自由を認めることは、すべての国家と個人にとって重要な挑戦であると確信しています。

国連の「女性に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」(女性差別撤廃条約)は、過去20年間において女性の生活に大きな影響を与えてきましたが、この条約に書かれている女性に対する約束事を十分に認識してきた国はひとつとしてありません。ことに女性は戦時において、レイプやその他重大な侵害を受け易い立場にあります。権力に立ち向かってこの原則のために活動する女性は特に卑劣な嫌がらせを受けています。多くの国において社会的構造そのものが女性を差別していて、法制度として、女性にはほとんど権利が与えられず、女性の証言にはあまり価値が置かれず、男性よりも厳しい罰が与えられているのです。女性は、家庭や地域社会においても、私人による暴力や差別を受けています。

1995年、アムネスティは女性の権利の問題を大きく取り上げるキャンペーンを開始し、それは第4回国連女性会議へと繋がっていきました。同年、国際評議員会議(世界大会)でアムネスティは、女性の人権を最優先課題としました。毎年、世界女性の日(38日)に、アムネスティはアクションを発信しています。世界の多くの国で女性の人権擁護活動家は人権運動の最前線にいます。近年アムネスティは、女性運動との関係を強化し、連携しています。

「女性性器切除」、「レイプ」、「女性への暴力」の項を参照。

女性性器切除(Female genital mutilation

女性性器切除(FGM)とは、女性の外部性器の一部または全部を取り除くことです。これを女性の成人の儀式(ただしその風習は廃れつつある)としている国もあり、女性や少女の性を管理する手段としておこなわれる場合もあります。こうした行為は、依然として世界のさまざまな場所で実際におこなわれています。

FGMによって、女性や少女に身体的、精神的に取り返しのつかない影響を及ぼすことがあります。滅菌処理をしていない器具で切除をおこなう場合もあり、エイズを含む病気の伝染、感染、大量出血などを引き起こすこともあります。また、心的外傷や痛みが残り、性行為や出産に問題を生じることもあります。政府がFGMを助長し、あるいは止

めさせるために十分な配慮を払わなかった場合など、FGMには拷問と類似した側面があります。FGMは世界中の女性団体から、女性の権利の侵害として非難されています。第4回国連女性会議で採択された北京宣言と行動綱領では、FGMを女性に対する暴力の一形態として位置づけ、これを防止し処罰の対象としなければならないとしました。

アムネスティは、各国に対し、FGMを根絶するため効果的かつ適切な措置をとり、このような侵害から女性や少女を守るための国際的な責任を果たすよう求めています(これ以外の「女性に対する暴力」でも同様な要請をしています)。さらに、国際社会に対しても、FGM根絶キャンペーンに十分な資源を発展途上国に提供するよう求めています。アムネスティは、最も効果的なFGM根絶戦略についてFGM反対活動家の間で交わされている議論に細心の注意を払っています。20008月、人権の促進と擁護のための国連小委員会は、政府は「こうした風習を全廃させるため、特に教育や情報提供、研修などを通じて」世論を盛り上げるべきであると強調しました。

女性に対する暴力(Violence against women

女性に対する暴力の撤廃に関する国連宣言によると、「女性に対する暴力」とは以下の意味です。

『ジェンダーに基づく暴力行為であって、それが公的生活で起こるか私的生活で起こるかを問わず、女性に対する身体的、性的、心理的危害または苦痛(こうした行為によって威嚇することを含む)、強制または恣意的な自由の剥奪となる、または、なる恐れのあるもの。

女性に対する暴力は、以下のものを含む(ただし、これらに限定されない)と理解される。

1)家庭において発生する身体的、性的および心理的暴力であって、殴打、世帯内での女児に対する性的虐待、持参金に関連する暴力、夫婦間における強姦、女性の生殖器切除およびその他の女性に有害な伝統的慣行、非夫婦間の暴力および搾取に関連する暴力

2)一般社会において発生する身体的、性的および心理的暴力であって、職場、教育施設およびその他の場所における強姦、性的虐待、セクシュアル・ハラスメントおよび脅迫、女性の売買および強制売春

3)どこで起きたかを問わず、国家によっておこなわれる又は容赦される性的および心理的暴力』

アムネスティは常に国家による暴力的な人権侵害に反対するキャンペーンをおこなっています。例えば、拷問(国家公務員によるレイプと武力紛争下でのレイプを含む)、不法な殺人、「失踪」です。近年、アムネスティはマンデイト(責務)を拡大し、政府が女性に実効的な保護措置を提供する義務を果たさない場合、政府以外の主体による女性に対する過酷な形態の暴力に反対するようになりました。

国際人権基準は、公務員もしくは私人によるものであるかを問わず、政府は、すべての人が拷問あるいは虐待されたりしないように保証する義務を負うことを明確に定めています。政府は虐待を防止および補償し、虐待した人びとを訴追し罰するため、あらゆる可能な手段を講じる義務があります。アムネスティは、家庭もしくは地域社会での女性に対する暴力行為が国際基準で規定される拷問の概念と同じような内容と残酷さをもち、かつ国家が実効的な保護措置をとる義務を怠っていた場合、それは国家が責任を負うべき拷問であると考えます。

女性性器切除の項も参照。

処刑(Executions

死刑の項を参照。

人権(Human rights

人の命や人間の尊厳の尊重といった人権の礎は、ほとんどの宗教や哲学に見出すことができるものです。人権は、世界各地における自由と平等を求める闘争を通じて深化してきました。人権は、与えられたり、購入されたり、獲得されたり、受け継がれたりするものではなく、単に人間であるということによって人びとに属するものであり、個人個人に本来的に備わっているものなのです。

人種、性、宗教、民族、政治的その他の意見、国民的もしくは社会的出身、またはその他の地位にかかわりなく、すべての人にとって人権は同一のものです。私たちはすべて、生まれながらに自由であり、尊厳と権利とにおいて平等です。人権は普遍的なものなのです。

人権を奪い取ることはできません。いかなる人も他人の権利を剥奪する権利を持つことはありません。国の法令が人権を認めていなかったり、あるいはその人の人権が蹂躙されていたりしたとしても、なお人びとには人権があります。人権は譲り渡すことができないものなのです。

尊厳を持って生きるために、人には自由と安全、そして相当な生活水準を享受する権利があります。人権は不可分なものなのです。

自らの基本的人権を守るため、人びとは各国政府に対して法律によりその権利を確認するよう要求してきました。法律によって人権を確認することにより、各国政府は人権を守る責任を引き受けることになります。各国政府が採択した国際人権基準をはじめとする人権基準は、各国政府がその領域内の人びとのためにしなければいけないこと、人びとにしてはいけないことを定めています。国内法と国際法の双方において人権が確固として認められていることから、アムネスティの要求には法的基礎が備えられているのです。

国の機関が国際人権文書の規定する人権を確保しないとき、人権は侵害されます。武装政治集団やその他の非

国家行為体が同様の行為をおこなうとき、人権は蹂躙されます。(アムネスティの文書では、人権の侵害と蹂躙の両方に言及する際には蹂躙という語を用います。)

世界人権宣言の項を参照。

人権教育(Human rights education

人権教育(HRE)は、人権というものを知り理解することを促進し、人権を尊重し遵守するために必要な知識あるいは態度、行動、能力を身につけさせる、予防的人権活動です。人権教育はアムネスティ活動に不可欠なものです。50カ国以上のアムネスティ支部は、幅広く人権教育に取り組んでいます。公共教育分野での活動では、教育カリキュラム、大学、軍および警察学校、市民奉仕活動に人権が取り入れられるよう政府に働きかけたりもします。非公式分野での活動に(informal sector)は、ジャーナリストや医療関係者、労働組合、女性、共同体、その他の多様な活動団体などのネットワークのための教育プログラムがあります。アムネスティの会員が教育関係省庁や警察などの関連当局と連携し、カリキュラム内容に提言をしている国もあります。さまざまな言語で幅広い教材が開発されています。人権教育コーディネーターがいる支部もあり、国際事務局が人権教育ネットワークを調整しています。国内および国際的にも、アムネスティは人権教育に関わっている政府間組織(IGO)や非政府組織(NGO)と密接に連動して活動しています。

アムネスティの人権教育プログラムには非常に重要な要素が多く含まれています。重要な要素とは、長期的展望のある綿密に計画されたものであること(共通の目的を持った一連の活動の一部分である場合は、個々の活動を人権教育とみなす)、国や地域の必要性や文化に一致すること、ロール・プレイ、演劇、討論、ケース・スタディを利用するといった参加型学習方法を用いること、意思疎通、政策提言、問題解決などの技術を教えることです。人権意識を喚起する方法についてはキャンペーン・マニュアルの項も参照。

人権擁護活動家(Human rights defenders

非暴力的手段で人権の促進とその擁護のために活動する人びとのこと。報道関係者や法曹関係者、アムネスティを含む人権団体の関係者、政府による抑圧に抗議する政治家などが挙げられます。危険や脅迫に屈せず人権侵害の犠牲となった親しい者のために支援活動をする友人や家族、親戚なども考えられます。人権擁護活動家が、不正義や権力の濫用を監視し、反対活動に専念することによってのみそれを防ぐことができることもあります。弱者を擁護し、権力者の責任を問う活動のために危険に晒されている人も多いのです。

アムネスティは、政府や報道機関への働きかけやネットワークづくりによって、危険に晒された人権擁護活動家のために活動しています。また、弾圧や脅迫の防止を目的とした活動や、危険に晒されている人の擁護を目的とする人権擁護活動家のネットワーク構築などを支援します。さらに、国連の原則に沿い、人権擁護活動家が合法的な活動を遂行できるように、弾圧から保護する機構の構築も支援します。この原則には、「世界的に認知された人権と基本的自由の促進と擁護を目的とする、社会における個人や集団、あるいは組織の権利と責任に関する国連宣言(the UN Declaration on the Right and Responsibility of Individuals,Groups and Organs of Society to Promote and Protect Universally Recognized Human Rights and Fundamental Freedoms)」(1999年、国連総会で採択)に盛りこまれた諸規定が含まれます。この宣言は「人権擁護活動家に関する宣言(the Declaration on Human Rights Defenders)」としても知られています。

人種差別(Racial discrimination

人種差別撤廃条約(あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約)は人種差別を「人種、皮膚の色、世系または民族的もしくは種族的出身に基づくあらゆる区別、排除、制限または優先であって、政治的、経済的、社会的、文化的その他のあらゆる公的生活の分野における平等の立場での人権および基本的自由を認識し、享有しまたは行使することを妨げまたは害する目的または効果を有するもの」と定義しています。

同様に、公的生活における差別について参照すると、条約は各締約国に対し「すべての適当な方法により、いかなる個人、集団又は団体による人種差別も禁止し、終了させる」ことを求めています。

人種差別は事実上すべての社会で延々と続いていて、拷問や虐待、不公正な裁判、そして超法規的処刑を含むさまざまな人権侵害を助長しています。人種差別は、ジェンダーや年齢といった他の根拠に基づいた差別によってさらに悪化することもあります。

アムネスティは、人種差別を受けない権利に対する重大な侵害について活動しています。人種、家系、国籍、出身民族のために拘束された良心の囚人に対して活動することもあります。また、差別が、拷問や虐待、死刑、「失踪」、政治囚に対する不公正な裁判、超法規的処刑、その他の人権侵害の要因となっているケースについても活動します。

アムネスティは、人種差別が被害者への賠償の妨げとなっていたり、人種差別のために人権侵害の実行者の免責が続いていたり、迫害を避けるため亡命する権利が人種差別のために妨げられた場合にも活動をおこないます。また、これらの暴力を生み出す差別的な立法に反対し、各国政府に対し、あらゆる形態の差別を禁止する地域的・国際的人権基準を批准および実施するよう求めます。

先住民族の項目の項を参照。

人種主義(Racism

人道的武力介入(Armed humanitarian intervention

人道的もしくは人権の危機を終結させる目的を持つ外部からの軍事介入。こうした介入は、国連あるいは他の政府間組織によっておこなわれますが、政府によっておこなわれることもあります。

アムネスティは人道的武力介入に対し支持も反対もしません。しかし、介入した勢力が人権侵害に関わっていた場合は批判してきました。たとえば、子どもを含む数百人のソマリアの民間人を殺害し恣意的に拘禁した1992年から1995年までのソマリアでの国連軍や、コソボでの北大西洋条約機構(NATO)軍があります。国際社会の選択的対応や、ルワンダでの大虐殺、トルコ治安軍による数千人のクルド民間人の殺戮、ロシア軍によるチェチェンでの重大な人権侵害などの深刻な人権の危機に効果的行動がとれなかったことは残念です。

人道に対する罪(Crimes against humanity

ローマ規程(国際刑事裁判所の項参照)第7条は、人道に対する罪を「市民に向けられた広範あるいは組織的攻撃の一環としておこなわれることを知ってなされた以下の行為」と定義します。「以下の行為」とは、「故殺、大量殺害、奴隷化、住民の集団送還あるいは強制移転、国際法の基本原則に違反する勾留その他の身体の自由の剥奪、拷問、強姦、性的奴隷化、強制売春、強制妊娠、強制不妊施術、その他の深刻な性的暴力、国際法上容認されない政治、人種、民族、文化、宗教、性、その他の理由による一定の集団に対する迫害、強制失踪、アパルトヘイト、意図的に人びとの身体、精神に重大な傷あるいは苦痛を与える同様の非人間的行為」です。

ローマ規程は、平和時においても人道に対する罪が成立する事を認めており、武力紛争に関連して市民が攻撃されることを人道に対する罪の要件としておらず、その行為が国際的なものであるか国内的なものであるかを区別していません。人道に対する罪は普遍的管轄権の対象です(世界のどの国でおこなわれた行為でも、いずれかの条約加盟国で裁判にかけることができます)。

「ジェノサイド」および「戦争犯罪」の項も参照。

制裁(Sanctions

アムネスティは、人権が侵害されている国の政府や武装政治組織に対する制裁の実施やその継続に対していかなる立場もとりません。

ただし、その制裁が重大な人権侵害を助長すると考えられる場合は、その制裁を停止あるいは変更するよう求めます。その制裁が重大な人権侵害を予防し、軽減あるいは終結させると考えられる場合は、活動の焦点は、重大な人権侵害を直接助長するような軍事的、経済的関係の禁止措置を要請することです。

アムネスティは、著しい人権侵害あるいは国際人道法違反となりうるような制裁を要請したり支持したりはしません。

政治囚 (Political prisoner

アムネスティは、政治的要素の強い事件の囚人を「政治囚」とします。政治的要素とは、囚人の活動の動機や活動そのもの、当局側が投獄を決定した理由なども含みます。社会の仕組みや民間秩序など「政治」に関わるあらゆる人間関係の側面を指す場合に「政治的」という語を用いています。これには政府の原則や組織、政策、公共に関する事項、また、こうした事柄と、言語や民族的出自、性別、信仰、地位など要因に及ぼす影響との問題も含まれます。世界的な女性運動などは、「政治的」という言葉の意味そのものを問題視しています。女性運動に関わる人びとにとっては、この言葉は地域社会や家庭内での力関係をも指しており、これらの分野でジェンダー関係を変えるべく取り組んでいる活動は政治的であるとされるべきだとしています。アムネスティの女性に関する活動はこうした理解を反映したものとなっています。

多くの国では、政治囚は世界的な合意基準を満たさない裁判によって有罪を宣告されます。あるいは、裁判も司法尋問もなされないまま、数年あるいは数十年間にわたり政治囚を拘禁する国もあります。アムネスティは、公正で迅速な裁判を受ける権利や釈放される権利といった国際的にはすべての囚人に認められている権利に基づき、政治囚は合理的な期間内に公正な裁判を受けるべきであると要請します。「政治囚」には、良心の囚人と、政治的動機による刑事犯罪(あるいは、不法侵入や器物損壊罪などその他の一般犯罪)を犯した人びとを含みます。しかし、アムネスティが即時無条件の釈放を求めるのは良心の囚人のみです。

被拘禁者の特殊な状態を伝えるためや被拘禁者の政治目標にアムネスティとしての立場を表明するために、アムネスティが「政治囚」という言葉を使うことはありません。アムネスティはキャンペーンの対象とする人びとの考えに対しては支持も反対もしません。また、政治的紛争での武器使用についてもいかなる立場もとりません。

アムネスティが政治囚という言葉を使うのは以下の場合です。

・国家反逆罪あるいは「国家転覆罪」で起訴されている武装政治組織(「武装政治組織」の項参照)の構成員あるいは構成員であると疑われる人びと

・労働組合や小作農団体によるデモなど政治的意味合いを持つ一般犯罪で起訴あるいは有罪判決を受けた人びと

・差別的な正当防衛に関する法律がある国で、夫殺害容疑で起訴あるいは有罪とされた、虐待されていた女性

・政治的動機により殺人や強盗などの一般犯罪をおこなった人や思想的理由により納税を拒否したことで起訴されたり有罪判決を受けたりした人びと

「政治囚はいない、通常の刑法上の罪により拘禁されている囚人しかいない」と政府側は繰り返す。しかし、アムネスティでは上記のようなケースを「政治的」であるとし、「政治裁判」や「政治的拘禁」という用語を用います。つまり良心の囚人を除いては、アムネスティは拘禁そのものに反対するわけではありません。アムネスティはひとりひとりの政治囚のために活動するだけでなく、法的保護なく長期の政治拘禁を可能にする意図的な手続きを廃止するよう各国政府に対して求めます。

政治的殺害(Political killings

超法規的処刑、不法な殺害の項を参照。

性的指向(Sexual orientation

性的指向とは、同性(同性愛者)、異性(異性愛者)あるいは性別に関係なく(両性愛者)、性的あるいは感情的に惹かれることをいいます。性的指向は個性の基本的な部分です。ですから、性的指向を自ら決定し、危険を感じることなく表明する権利は、あらゆる意味から人権そのものです。政府にはあらゆる人びとを差別することなく保護する義務があるにもかかわらず、レズビアンやゲイ、両性愛者、トランスジェンダー(まとめてLGBTという)の人びとは、生きる権利や身の安全を脅かされない権利、法の下の平等といった基本的権利を剥奪された状況にあります。

アムネスティは、性的指向に基づく差別(「差別」の項参照)を受けない権利の重大な侵害に反対して活動します。アムネスティのLGBTネットワークやグループは、アムネスティの中でも急成長している活動の一つです。

性の認識に関する一般用語と、この用語から認識される事柄は文化によって大きく異なります。アムネスティが、「レズビアン」、「ゲイ」、「両性愛者」、「トランスジェンダー(自分は生まれながらの性別とは異なる性別であると感じている人びと)」の用語を用いるのは、これらの用語が人権に関する論文で最もよく使われているからです。これによってその他の多様な用語や独自性を無視するわけではなく、それらの用語に込められた文化的意味合いを否定するつもりでもありません。

政府間諸組織(Intergovernmental organizations

国家間の組織を指します。国際連合のように地球規模の組織もありますが、アフリカ連合(前アフリカ統一機構)のような地域的なもの、コモンウェルスやアジア太平洋経済協力機構(APEC)のように他の何らかの基準によって設置された組織もあります。

アムネスティは、こうした組織を通じて国際人権諸基準を発展させ、それらの諸基準が政府によって尊重されることが確保される法的、実務的な仕組みが強化されるよう奨励しています。また、適当な場合には、これらの組織に、さまざまな国家やケースについてのアムネスティの調査結果を提供します。

国際事務局は、国際連合、特にその人権諸機関に対して正式な代表団を派遣します。欧州評議会や米州機構のような地域組織に対しても代表団を送ります。

アムネスティの各支部および会員も、この国際的なロビー活動に参加し、これらの各機関の自国代表団にアムネスティの関心を理解してもらうように働きかけます。

世界人権宣言 (Universal Declaration of Human Rights)

世界人権宣言(UDHR)は世界の人権について最も広く認められてきた文書であり、その価値観はアムネスティ活動の基盤となっています。その核となるメッセージは全人類にあてはまる人類固有の価値です。

世界人権宣言は50年以上、国連の人権政策の要石となってきました。19481210日に国連総会において採択され、世界中の人びとを人権侵害から守るための指針となってきたのです。

世界人権宣言の30の条文は、すべての人びとの市民的、文化的、経済的、政治的、社会的権利をうたっています。以下のような権利です。

・生命、自由、安全への権利

・法の下での平等、公平で公開の裁判、推定無罪

・移動の自由;思想、良心、宗教の自由;意見と表現の自由;集会と結社の自由

・隷属からの自由;拷問、もしくは残酷かつ非人道的もしくは劣悪な処遇又は刑罰からの自由;恣意的逮捕、拘禁もしくは流刑からの自由

・国籍、婚姻、自らの財産に対する権利

・自国の政府に参加する権利

・働く権利、等しい仕事から等しい賃金を受け取る権利、休息と余暇を享受する権利、適切な水準の生活と教育を受ける権利、労働組合を結成し参加する権利

・迫害から逃れて庇護を求める権利

世界人権宣言は、人権は、国内問題にとどまるものではなく国際的な責任であることを確信させてきました。そこではすべての人権が普遍的かつ不可分であるという原則を述べています。このことは、すべての人権がいかなる時もすべての人びとによって享受されるべきであり、他者の権利を犠牲にしてはいかなる権利も享受されえないことを意味しています。

たとえ、それが大抵の国際人権法への含意であるにしても、世界人権宣言は、それ自体は法的に拘束力を持つ条約ではなく、原則文書です。それにもかかわらず、それが表現している理想は、条文の多くが実効力を持つ国際人権法の中に確実に定着しています。全体的にも部分的にも、世界人権宣言の見方についてはさまざまな議論が展開されてきました。それは法的拘束力を持つか、国際慣習法の反映もしくは国連憲章の権威的な解釈かどうかといった点についてです。

国連憲章の下で、加盟国は人権と基本的自由の遵守を促進することを誓い、世界人権宣言はそれらの権利についての正式文書となっています。多くの国家が自国の憲法と国内法の構造にこの宣言を織り込んでいます。決議の中で国連の総会と人権機関は、世界人権宣言の完全なる実行と条文の尊重を繰り返し訴えています。

世界人権宣言は、それから生じた2つの規約の中に法的拘束力を持つ文言を与えられています。それは、市民的、政治的権利に関する国際規約と、経済的、社会的、文化的権利に関する国際規約です。

国連は多くの他の基準の中に世界人権宣言の原則を加えてきました。それらの多くは施行のための仕組みを発展させてきています。それらの中には以下のものがあります。

・あらゆる形態の人種差別を排除することについての国際規約

・あらゆる形態の女性差別を排除することについての規約

・拷問および他の残酷、非人道的、劣悪な処遇もしくは刑罰を禁止する規約(拷問禁止条約)

・子どもの権利についての規約

国際的人権文書、国際人権メカニズム、国際人権諸基準、および国際人権諸条約の項を参照のこと。

責務、マンデイト(Mandate

アムネスティの責務(マンデイト)とは、アムネスティがどのような問題に取り組むのかという許容範囲を原則として定めるものであり、この範囲内にあるどういう分野の問題を取り上げるのかといった決定は統合戦略計画(ISP)に説明があります。

アムネスティの責務(マンデイト)は、アムネスティ会員によって民主主義的に決定され、国際人権基準に準拠しますが、それに限られるものではありません。

規約に定められている責務は以下の通りです。

「アムネスティ・インターナショナルの使命は、あらゆる人権を促進するために、身体および精神が保護される権利、良心の自由・表現の自由に対する権利、差別されない権利が侵害されないように調査・活動をおこない、すべての権利の促進をはかることです。」

責務(マンデイト)は、人権に関して新たな課題が生じ続けているために、約40年間広がる一方です。2001年に採択された上記の文言は、それ以前の責務(マンデイト)から拡大したことを表しています。アムネスティはあらゆる人権を促進するために活動し、市民的政治的権利のいくつかの重大な侵害に具体的な取り組みをしてきました。例えば、良心の囚人の収監、政治囚の起訴も裁判のないままの拘禁、死刑および拷問、虐待、政治的殺害および「失踪」、良心の囚人の拘禁といった武装政治組織による虐待行為、人質をとる行為、拷問および違法殺害などです。

新しい責務(マンデイト)は、市民的政治的権利と経済社会文化的権利を区別することなく、あらゆる人権の普遍性と不可分性を確認するものであり、アムネスティは経済社会文化的権利への取り組みを強化するということです。

また、アムネスティが国家以外の主体によるさまざまな人権侵害に実効的に取り組み、日々変化する状況に臨機応変かつ適切で実効的な対応をする必要性があることも示しています。アムネスティの責務(マンデイト)が拡大し発展するに伴い、この運動体はあらゆる重大な人権侵害に反対して活動するのか?という疑問が生じました。この疑問は今後数年かけて詳細に検討された後、各会員が結論を下すことになります。

先住民族(Indigenous peoples

先住民族は、移住者が他の土地からやってくる以前からその土地に住んでいたことから、そう呼ばれます。ある国、あるいは地理的地域に他の文化や民族的起源をもつ人びとが到着し、その後、到着した人びとが征服、占領、植民、その他の手段をもって支配的となる場合に、それ以前から住んでいた人びとの子孫を先住民族と定義することもあります。

世界中には三億人の先住民族の人びとがいると試算されています。アメリカ両大陸のインディアン(例えば、グアテマラのマヤやボリビアのアイマラ)、北極付近のイヌイットやアリューシャン、北欧のサーミ、オーストラリアのアボリジニやトレス海峡諸島の人びと、ニュージーランドのマオリなどの人びとがいます。こうした先住民族はその地域の他の人びととは明確に違う社会的、文化的、経済的、そして政治的特長を維持しています。

多くの地域で、先住民族は疎外され、差別されており、さまざまな人権侵害に晒されています。国家が先住民族に対する人権侵害に直接関与している国ぐにもあります。他の国でも先住民族のコミュニティは、被害の調査をしたり責任を追及したりすることができないために、政府の黙認のもとに活動する武装勢力や非国家行為体による人権侵

害を被ったりしています。

戦争犯罪(War crimes

戦争犯罪は、国際的であるかないかにかかわらず、武力紛争における国際人道法の重大な違反です。

国際刑事裁判所設置規程(ローマ規程)では、国際紛争における戦争犯罪を以下のように定義します。つまり、「ジュネーブ諸条約に対する重大な違反」(ジュネーブ諸条約で保護される人びとに対する恣意的な殺人、拷問、非人道的な取り扱い、公平な通常裁判を受ける権利の剥奪、人質を取る行為、不法な投獄などの行為)および、「確立された国際法の枠組みの範囲内で国際武力紛争に適用される法と慣行に対するその他の重大な違反」(「まさしく民間人もしくは直接敵対行為には参加していない民間人に対して、意図的に直接攻撃すること」および「無防備で軍事目標ではない町や村、住宅もしくは建物を無差別な方法で攻撃もしくは爆撃すること」など)です。

国際的でない武力紛争の場合、ローマ規程では、戦争犯罪をジュネーブ四条約に共通する第3条の重大な違反(敵対行為をおこなっていない人びとに対する生活と人への暴力、虐待および拷問を含む)および国際法の確立された枠組みの範囲内であり、国際的でない武力紛争に適用される法と慣習の重大な違反(強姦、性的奴隷、強制売春、強制妊娠、また他のいかなる形態の性的暴力も含む)と定義します。

戦争法規('Laws of War'

国際人権法の項を参照。

代表団(Delegations

アムネスティ組織のために会議や会談に出席するアムネスティの代表者。外交官や政府高官との会談は、アムネスティがその国の人権状況に関心を持っていることを伝え、当局の直接の返答を聞くためのものです。代表団はまた、非政府組織や企業のメンバーとも会い、アムネスティの関心を伝え、人権を保護し促進するための援助を求めます。

大使館訪問は、アムネスティの支部レベルの代表団によって計画され実施されます。代表団を送りたい、あるいは参加したいグループは、支部事務所、支部のないところは国際事務局に連絡してください。

「派遣団(Missions)」の項も参照。

大量追放(Mass expulsion

民族的出身、性、皮膚の色、言語、または政治的、宗教的その他の意識的に有する信念のみを理由として、大量の人びとをその国または領域(領域の境界が争われていると否とを問わない)から追い出す政府およびその他の紛争当事者の措置に、アムネスティは反対します。

治安あるいは「犯罪統制」のための装置(Equipment for security or ‘crime control’

アムネスティは、絞首台や囚人に電気ショックを与える装置のような、拷問あるいは死刑のためにだけ用いられる装置の完全な廃止を求めます。また、スタン・ベルト(衝撃を与えるベルト)、ぎざぎざの親指手錠、鉄製の足拘束具といった、その使用が本来痛みを伴うものであり、残酷で非人道的で品位を傷つける取り扱いをするときに使われる武器や装置の廃止を求めます。

地域別行動ネットワーク(Regional Action Network(RAN))

地域別行動ネットワーク(RANs)は、世界のある特定の地域で発生する人権問題を取り上げて活動するアムネスティ・グループのネットワークです。例えば、西ヨーロッパ地域別行動ネットワーク(WERAN)は、西ヨーロッパの人権侵害に焦点を当てている世界中の多くのアムネスティ・グループで構成されています。

活動を積み重ねていく中で、グループは、彼らが重点的に取り扱ってきた特定の地域の人権問題についての専門家との関係を築いていきます。専門家たちは簡便な文書の大量アピールよりも情報を盛り込んだ詳細な手紙を書くことができますし、国際事務局による行動の要請があればその地域の言葉ですばやく活動することもできます。こうして特定の地域での活動で経験を積んだメンバーがいることによって、その地域での何らかの人権の緊急事態が起きた時にアムネスティが迅速に対応できるようにします。

RANの活動は、状況、活動の見通し、得られる情報量などにもよりますが、通常2ヵ月から6ヵ月間継続する特別キャンペーンプロジェクトです。RANが状況に応じて発行されるようになって以来、年間8から10件のRAN活動が発行されますが、不規則です。

力の過度の行使(Excessive use of force

達成されるべき正当な目的あるいは特定の状況下で引き起こされた何らかの脅威に対する過度あるいは過剰な力の行使のことです。アムネスティはこの用語を武力紛争に関係してではなく、法執行状況においてのみ使用しま

す。

法執行官は、時に、直面する状況によって力の行使を余儀なくされます。国連法執行官行動綱領は、彼らは「厳密に必要なときのみ、そして、彼らの職務遂行上必要とされる範囲まで、力の行使を許される」と述べています。国連法執行官による力および小火器の使用に関する基本原則は、「生命を守るために厳密に避けられないとき」のみ、「小火器の意図的致死使用」を許す、というものです。各国政府は、法執行官は厳密に必要なときのみ、そしてその状況下で最低限必要とされる範囲までのみ、力を使用してよいとするべきです。

アムネスティは、超法規的処刑あるいは拷問あるいは虐待にならないときだけでなく、国際的人権規範を侵害する法執行官による過度の力の行使に反対します。死をもたらすほどの力は、生命の保護のため厳密に避けられないとき以外には使用されるべきでありません。死に至るほどの力が用いられるとき、過度の強制力が使用されたかどうか、どの殺害も合法的であったかどうか判断するために、すべての事件は十分に調査されなければなりません。過度の力の行使あるいは不法な殺害に責任のある者は、裁判にかけられなければなりません。

調査(Research

アムネスティは人権侵害を明らかにし、時機を得た正確な情報に基づくキャンペーンを展開するための調査をおこないます。

特定の国を対象にする国際事務局の調査チームは、幅広い情報源や情報提供者から得た情報を照合し、裏付けしながら、アムネスティのマンデイト(責務)の範疇にある人権侵害の報告を調査します。囚人やその家族、弁護士、ジャーナリスト、難民、外交官、宗教団体、地域社会の労働者、人道団体や人権団体などが情報源です。また、新聞やウェブサイト、その他のメディアにも目を通します。電子メールや電話、手紙、ファックス、個々にたずねてきた人なども重要です。

アムネスティは、現場の状況を確認するために、訪問する意向を当局に伝えた上で、実情調査団を公式に派遣します。代表団は、囚人やその親戚、家族、弁護士、目撃者、現地の人権活動家などに事情を聞く場合があります。また、裁判を傍聴し、政府官僚と会談することもあります。アムネスティの入国が許可されない場合には、調査団は、ニュース報道や難民、在外外交代表など、国外の情報源に頼らざるを得ません。

声明や報告書の発表前に、その内容の正確性や政治的中立性、また、マンデイト(責務)を逸脱していないかどうかが検証され、国際事務局で承認を得ます。アムネスティが取り扱うのは、疑う余地のない事実ばかりではなく、十分な証拠のない申し立ても多いのです。アムネスティはこの証拠不十分な申し立てを明白なものにし、その訴えを調査するよう要請します。何らかの間違いがあった場合には、訂正します。

アムネスティの調査は信頼性が高く、各国政府や政府間組織、ジャーナリスト、学者、他の人権団体や運動組織などに広く利用されています。2001年の国際評議員会議では、多数の支部がパイロットプロジェクトをおこなうことが決定されました。このプロジェクトでは、各支部は自国のある特定の問題に関する調査をおこない、キャンペーンの材料を作成します。

「自国条項」の項参照。

調整グループ(Co‐group

「コーディネーター(Coordinators)」の項、参照。

超法規的処刑(Extrajudicial executions

超法規的処刑とは、特定の政府の直接指令や共謀、黙認によっておこなわれる違法で意図的な殺害をさします。超法規的処刑は、通常特定の政府の領域内で起こり、軍や警察部隊、あるいは通常の監視系統がないまま機能する特殊部隊か政府の軍事組織かそういった組織と共同共謀して活動する民間組織によっておこなわれます。そのような政府の部隊や部局や部門は「殺人部隊」と呼ばれるたりします。

犠牲となるのは、反体制派や犯罪容疑者あるいは浮浪児や物乞いといった社会的弱者です。軍事行動や平和的なデモ行動の際に拘束され殺害されたり、自宅や街頭で殺害されたりしています。国境を越えて領域外で超法規的処刑がおこなわれることもあります。この場合は国外に住む反体制派の人びとなどを標的にした暗殺者によるものです。

1989年、国連は「超法規的、恣意的および即決処刑の効果的防止および調査に関する原則」を採択し、その中ですべての超法規的処刑事件の調査や、加害責任被疑者の起訴、被害家族への補償を要請しています。アムネスティはすべての超法規的処刑に反対し、全世界的に展開したキャンペーンの一環として採択した「超法規的処刑を防止する14項目のプログラム」を実施するよう各国政府に訴えています。特に、報告された超法規的処刑のすべてについて、迅速で実効的、独立かつ公正な調査と、加害責任者を裁判にかけることを訴えています。

不法な殺害の項も参照。

直接アピール(Direct appeals

アムネスティは1961年、一時的な手紙書きキャンペーンをおこない、アムネスティの活動の中核的部分である人権侵害に責任のある当局に対して、直接アピールをおこなうようになりました。グループと会員は、アクション・ファイル、

地域別行動ネットワーク(RAN)、緊急行動ネットワーク(UA)、ワールド・ワイド・アピールを通じて、そして特定のテーマあるいは国に関するパンフレットのようなキャンペーン資料で、手紙書きの宛先の住所やアピールの内容の提案と同時に、直接のアピールを求めるケースについての情報を受け取ります。

ある条件のもとにおいて、アムネスティ会員は、囚人自身あるいは家族に手紙を書く。直接の文通は、しばしばグループや会員を勇気づけ、長期間の関わりを持続させます。

アムネスティは直接的かつ効果的に当局に関心を持ってもらうために、あらゆる可能な手段を用います。そのため、郵便の住所と同様に適切な入手可能なEメイルアドレスやファックス番号が与えられます。グループや支部は、活動家や一般の人びとが署名して送られるように、集会やイベントで配布される簡潔なアピールが書かれたハガキを印刷します。

いくつかのケースでは、国際事務局はアムネスティ事務総長により署名された要請あるいはアピールを直接政府に送る場合もあります。緊急行動あるいはプレス・リリース発行するには不十分な情報しかない場合もあります。あるいは、当局は、公あるいは数多くのアピールよりも穏やかな接触に、より好意的に反応するかもしれません。そのような手紙はまた、アムネスティの関心とアピールが関係する当局に正式に直接的にされることを確実にするために、プレス・リリースの発行と連動して送られるかもしれません。

キャンペーン・マニュアルの項を参照。

デモ(Demonstrations

街頭抗議行動は、国レベルでもグループレベルでも重要なキャンペーン技術です。デモは世界の出来事に対する自然発生的な反応です。デモはキャンペーンの一環としてもよく計画されます。

グループは、前もって支部に、マスメディアなどからの問い合わせに答えることができるよう、計画しているイベントについての情報を知らせておくべきです。法的許可が必要な場合は、警察やその他の当局とよく打ち合わせてデモを計画する必要があります。イベントはプレス・リリース、ポスター、ビラなどの手段を使って、広範に宣伝するべきです。地域の有名人に参加を依頼すると、メディア報道を獲得するのに役立ちます。横断幕や目立つ色彩を使って、イベントはできるだけ注目を集めるようにしましょう。

デモの計画の立て方についての情報や助言は、キャンペーン・マニュアルの項を参照。

象徴的イベント(Symbolic events)の項を参照。

統合戦略計画(Integrated Strategic Plan

統合戦略計画(ISP)は、(1)アムネスティ活動の戦略上および予算上の枠組みを定め、(2)支部と国際事務局の計画基盤を設定し、(3)執行状況を評価するための目標を設定し、(4)アムネスティの準支部が執行期間内に取り組む活動を言明し、(5)執行状況を体系的に評価するための基盤を提示するものです。初めの2つの統合戦略計画は、それぞれ4年間にわたる計画でした。1995年のリュブリアナ国際評議員会議(ICM)で承認されたものは1996年~2000年を、1999年のトロイア国際評議員会議のものは2000年~2004年をカバーしました。

2001年国際評議員会議ではマンデイト(責務)を大幅に変更し、より広範囲の人権侵害に取り組むものとなりました。アムネスティが対象とする人権侵害を定義していた従来のマンデイト(責務)は、アムネスティの目指すもの、使命、中心的価値感を幅広く説明する声明によって置き換えられました(規約参照)。

現在アムネスティの活動は、マンデイト(責務)ではなく統合戦略計画で定義されています。統合戦略計画は国際評議員会議で決定され、6年間をカバーするものであり、その間のアムネスティの調査、活動、促進活動(promotion)の優先順位を示します。

次の統合戦略計画は2004年~2010年をカバーし、2003年の国際評議員会議で議論、承認されます。統合戦略計画は、アラビア語、英語、フランス語、スペイン語の4つの主要言語で国際事務局から入手できます。

独房拘禁(Solitary Confinement

囚人もしくは被拘禁者が孤立した状態におかれることを指します。長期の独房拘禁、もしくは独房拘禁によってもたらされうる刺激感覚の減耗は、残酷で非人道的あるいは劣悪な処遇となっているようなケースもあります。独房拘禁はまた、囚人の肉体的、精神的健康に深刻な影響をもたらし、拷問を助長するものです。

独房拘禁は隔離拘禁と同義ではありません。自らの房に独りで収容されている独房拘禁の囚人は、例えば、弁護士、家族に会えたり、医療ケアを受けることができる場合もあります。

いかなる囚人も孤立した状態で長期拘禁されるべきではなく、刺激感覚を減耗されるようなことがあってはならないとアムネスティは考えます。また、拘禁の状態は国連の被拘禁者最低基準規則と他の国際人権諸基準に合致するべきです。独房拘禁は投獄された子どもたちに対しては完全に禁ずるべきです。

刑務所の状況の項を参照のこと。

ドメスティック・バイオレンス(Domestic violence

「女性に対する暴力(Violence against women)」の項を参照。

難民(Refugees

難民の地位に関する1951年国連条約は難民を以下のように定義します。

「難民とは、人種、宗教、国籍もしくは特定の社会的集団の構成員であることや政治的意見を理由に迫害を受ける恐れがあるという十分に理由のある恐怖を有するために、国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けることができないものまたはそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まないもの。」

1969年のアフリカの難民問題の特殊な側面に関するアフリカ統一機構条約のような、難民という用語のより広い定義をしている地域機関もあります。

アムネスティは、正式に難民と認められない人びとを含む、迫害あるいは深刻な人権侵害から逃れるために自国から逃亡した人びとに言及する時に、「難民」という用語を使用することがあります。その活動に際してアムネスティは、難民であるという定義を求めるよりも、帰国すれば人びとが直面する危険に焦点を当てて考えます。アムネスティは、帰国すれば人権侵害を当然こうむるであろう国への帰国の強制に反対します。

国内避難民、ノン・ルフールマン、救援金・救援物資、自国に対する活動の項を参照。

年次報告書 (Annual Report

年次報告書は毎年出版されます。前年1年間のアムネスティの活動の概観と世界中のアムネスティの関心事の要約、そして国ごとの報告が記載されます。政府、政府間組織、非政府組織、そしてニュース・メディアが参照する文書となります。アムネスティ会員はこれを、メディアへの交渉、宣伝、社会への長期間の人権意識の喚起を築くために使用します。年次報告書は、支部、国際事務局、アムネスティ・ウェッブ・サイトを通じて、いくつかの言語で入手できます。

ノン・ルフールマン(Non-refoulment

アムネスティは、どんな人でも、アムネスティがその活動を通じて反対するような人権侵害をこうむることが当然に予測されるような国へその人を強制的に送還することに反対します。アムネスティは、1951年の難民の地位に関する国連条約第33条や、その他多くの国際的諸文書に示されたノン・ルフ-ルマン原則を、国際慣習法を構成するものとみなしています。

国際人権法によってこの認識は明瞭に裏付けられます。例えば国連拷問禁止条約第3条やヨーロッパ人権裁判所の一連の判決は、拷問、超法規的処刑あるいは「失踪」の危険がある場合には、絶対に送還してはいけないとしています。

1951年の難民の地位に関する国連条約第332項に該当する犯罪か同条約除外条項のいずれかの犯罪について起訴されまたは有罪判決を受けているため同条約の保護を受けられないとされる者であっても、こうした権利が脅かされるような場合には、ルフールマンの禁止が適用されるという見解をアムネスティはとっています。

庇護を求める人びと、死刑、難民の項を参照。

発展(Development

アムネスティのいう「発展」とは、ある国や地域でのアムネスティ会員組織の発展や構築をさす場合と、他の人権組織と共に努力して、より広範な人権運動の構築をさす場合があります。

アムネスティの発展の第一の目的は、世界のすべての地域で適切かつ効果的、持続可能な多文化的存在として確立することです。このための発展計画には、活動の計画立案や戦略的思考とその評価、さらには内部の民主手続きや、執行部と事務局との関係、財政活動などの全般的支援と能力開発などがあります。

国際的発展方針は、国際執行委員会の常設委員会のもとにある「組織と発展に関する常設委員会」を通じて会員が決定します。プロジェクトごとの資金供与や計画ごとの資金支援、その他の短期資金支援などは支部の発展委員会を通じて申請することができます。

国際執行委員会が優先発展支部に指定した支部や「準備支部」段階にある会員組織への発展支援は、国際事務局の地域発展チームと国際発展局が担当します。地域発展担当事務局員の中には、担当するアムネスティ支部の近くに移り住んでいる者もいます。

経済的発展支援の項を参照。

庇護を求める人びと(Asylum-seekers

「庇護を求める人びと」とは、まだ難民とは正式に認められていない状態で外国において保護を求める人びとです。

アムネスティは、庇護を求めるすべての人びとが、公正で十分な難民認定手続にもとづいて審査される機会を与えられるよう要求します。この手続きは、国に送還されると深刻な人権侵害に直面する恐れのある人びとを特定し、

彼らに保護を与えるために必要不可欠です。アムネスティは、以下の場合を除き、庇護を求める人びとあるいは難民の拘禁に反対します。

刑事事件に関与した疑いがある場合

関係当局が、その拘禁が必要であることを個別ケースで立証した場合

その拘禁に法律上の根拠があり、庇護を求める人びとを拘禁する正当な理由であると国際基準に定められている以下の根拠に基づいていること

・本人特定のため

・難民申請の根拠となっている事実確定のため

・庇護を求める人びとが庇護を求める国において当局の判断を誤らせるためにパスポートあるいは身分証明書を破棄し、あるいは偽造書類を使用した場合

・国の安全あるいは公の秩序を守るため

アムネスティは、拘禁されているすべての庇護を求める人びとが、司法あるいは準司法機関によりその拘禁が国際基準に従った適法なものであるかどうかの審査を迅速に受けられるよう要請します。庇護を求める人びとの拘禁は、時には、恣意的拘禁と呼ばれものにもなります。(「恣意的拘禁」の項参照)

アムネスティの多くの支部は、自国において庇護を求める人びとおよび難民のために活動しています。

ノン・ルフールマンの項を参照。

非国家行為体(Non-state actors

アムネスティでは、政府あるいは武装政治組織代表として行動するのではない私人あるいは民間人の組織を指します。

国際人権基準によると、各国政府にはその領域内にいるすべての人びとの人権を尊重し保護し、実現する責任があります。政府がこの義務を果たさない場合、人権侵害を犯した人びとと同様にその責任を負うこととなります。1997年の国際評議員会議において、アムネスティは人権を保護する責任を拡大し、非国家行為体による人権侵害に取り組む包括的な枠組みを発展させることを合意しました。アムネスティは、政府が、その領域内にいる人びとを非国家行為体による人権侵害から保護する義務を果たさなかった場合にも何らかの行動をとる可能性があります。

そのような人権侵害とは以下の2つの基準を満たすものです。

政府によっておこなわれた場合であればアムネスティが反対するような違反行為に類似するもの(「名誉殺人」、幼児殺害、女性性器切除、奴隷、借金による奴隷、強制売春など)。

国際人道法上、政府が人権侵害を撲滅する義務を果たしていないという明らかな証拠があるもの。人権侵害を処罰し阻止しなかったことが、共犯あるいは怠慢に当たると考えられるもの。例えば、当局の不介入(警察が何もせず待機しているだけの場合など)、人権侵害が法律その他の措置で禁じられていないこと、犠牲者に補償をおこなわないことなど。

非集中化・分散化(Decentralization/Deconcentration

アムネスティでは「非集中化」とは国際事務局から独立したアムネスティの機構や部門であり、その構成員が選出した執行部を通じて国際執行委員会に直接報告義務を負うものを指します。「分散化」とは、ロンドン以外に設置された国際事務局の機構や事務所を指します。2002年初めの現在、EDAI(スペイン語出版局)EFAI(フランス語出版局)という二つの分散化した機構と、ベイルートやコスタリカ、ジュネーブ、香港、カンパラ、ニューヨーク、パリに分散化した事務所があます。

非集中化ユニット(Decentralized units

アムネスティは、アラビア語、英語、フランス語、スペイン語の4つの主要言語を使って活動しています。この4つの言語を使用してアムネスティ会員による国際的な意思決定をしますが、同様にキャンペーンと活動の両方に完全なかたちで参加できるようにするために、この4つの言語で、報告、文書、キャンペーン資料の大多数を作成するように努力しています。スペイン語の必要を満たすEDAIとフランス語の必要を満たすEFAIの2つの完全に非集中化されたユニットと、国際事務局によって最近管理されるようになったARABAIというアラビア語プログラムがあります。

非政府系勢力(Non-governmental entities

武装政治集団の項を参照。

避難民(Displaced persons

国内避難民の項を参照。

不公正な裁判 (Unfair trial)

公正な裁判の項を参照。

武装政治組織(Armed political groups

非政府団体あるいは反体制武装組織とも呼ばれる、政治目的達成のために武力を用いる非政府組織のことです。

アムネスティは、武装政治組織による拷問、人質をとる行為、違法な殺害、その他の重大な人権侵害に反対します。また、このような武装政治組織による人権侵害に対し、出版物や報道を通じてこうした行為に反対する意思を表明します。これらの組織に直接働きかけるほうが有効であると思われる場合には直接的な働きかけをおこなうこともありますが、その場合には政府やその他の組織に対しても等しく適用される国際人道法に定められている最低限の基準に基づいておこないます。

アムネスティは、これら武装政治組織の人権侵害行為に抗議したりその他の手段を講じたりしますが、これらの組織を法的に認めるわけではありません。またこれらの組織を批判したとしても、アムネスティの主要な活動対象が政府であることには変わりはありません。各国政府こそは、国際人権基準を遵守しその主権のもとにある人びとを保護する法的責任を負っています。

不法拘禁(Unlawful detention

恣意的拘禁の項を参照。

不法な殺人(Unlawful killings)(武力紛争と政治的暴力の状況において)(in situations of armed conflict and political violence)

殺人は国際人権基準、人道基準に照らして違法です。(なぜなら、殺人は生命の権利を恣意的に剥奪することであり、戦争法の基本原則に違反しているからです。)それは、政府や、その管理下にある軍事力によって犯されたり、武装政治集団によって犯されたりする場合においても違法です。この言葉は、武力紛争における直接的、不均衡なもしくは無差別の攻撃、あるいは政治的暴力に由来した即決処刑、民間人の暗殺、民間人と他の非戦闘員の殺害を含んでいます。アムネスティ・インターナショナルはこれらすべての殺人に反対しています。

超法規的処刑と国際人道法の項を参照。

武力紛争(Armed conflict

アムネスティのマンデイト(責務)は、平和時における人権と戦時における人権とを区別していません。アムネスティ国際規約では、すべての人権の促進および以下3つの権利のあらゆる重大な侵害を調査し活動することをアムネスティの活動と定めています。

・身体と精神の安全への権利

・良心および表現の自由が守られる権利

・差別されない権利

この方針に従い、武力紛争下における死刑、拷問およびその他の残虐で非人間的なあるいは品位をおとしめるような取り扱いまたは刑罰、「失踪」、超法規的処刑、良心の囚人の拘禁といった行為に反対します。

アムネスティは、武力紛争、軍務(ただし、「良心的兵役拒否」の項参照)、徴兵(ただし子どもの徴兵は除く)については特定の立場を持たないが、武力紛争下での市民に対する恣意的攻撃および無差別攻撃に反対し、国際人道法に定められた基準を遵守するようすべての当事者に呼びかけています。武力紛争に関するアムネスティの立場は、国際人権基準のほかに国際人道法に定められた基準に従うことですが、その活動は国際人道法に定められた基準に限定されているわけではありません。

アムネスティは、国連やその他の政府間組織による武力介入および平和維持活動に対し、人権擁護に関する憂慮を表明しています。また、深刻な人権侵害を引き起こす政府および企業による他国の軍隊および武装政治組織への武器移転に反対し(「軍・治安部隊・警察に対する武器等の移転」の項参照)、人権侵害に反対する意思を表明するよう企業に要請しています。さらに、子ども兵士の徴兵に反対し、武力紛争下での子どもの保護に関するキャンペーンをおこなっています。アムネスティは、すべての会員組織が武力紛争の結果として発生する人権の危機(大量の人権侵害が突発的に発生すること)に迅速かつ組織として対応できるよう「危機対応」の手続きを定めています。

アムネスティの「免責」に反対する活動は、戦争犯罪を含む最も重大な人権侵害の責任者を法の裁きにかけるという国際法上の進展に貢献してきましたが、国際刑事裁判所の設置を定めたローマ条約採択もこのような働きかけによる進展の一つです。アムネスティは、武力紛争によって難民や国内避難民となった人の保護活動にも取り組んでいます。

ボイコット(Boycotts

企業の項と制裁の項、参照。

ミッション(調査団)(Mission

使命(Mission

2001年に開催された第25回国際評議員会議で採択された規約では、アムネスティの使命を次のように説明します。「アムネスティ・インターナショナルの使命は、あらゆる人権を促進するために、身体および精神が保護される権利、良心の自由・表現の自由に対する権利、差別されない権利が侵害されないように調査・活動をおこない、すべての権利の促進をはかることである。」

アムネスティでは、ある国家を公式訪問することも「ミッション(調査団)」と呼んでいます(「ミッション」は、政府や政府間組織では代表事務所を意味するが、アムネスティではそうではない)。調査団の訪問は通常、国際事務局が手配をおこないます。調査団に参加するのはアムネスティの職員あるいは会員であるが、組織外の人物が参加することもあり、単独でおこなうことも、代表団としておこなうこともあります。

調査団の目的は、アムネスティが懸念を抱く国の情報収集であることが多いが、現場で調査をおこなう他、人権侵害の犠牲者や目撃者、現地の人権活動家、当局関係者、外交官などに聞き取りをおこなうこともあります。また、特定の事件に関して専門家に調査を依頼することもあります。例えば、弁護士に裁判の傍聴を依頼する、病理学者に法医学的な検査を依頼するなどです。

その他、政府当局者との協議のために訪問することもあります。この場合は国際事務総長が団長となり、国際執行委員会あるいは外部の著名な人物が同行することもあります。こうした協議により、政府関係者と直接対話する機会を持つ、懸念事項に対する当局からの反応を確認する、懸念対象国におけるアムネスティの会員組織の発展について議論する機会を得ます。こうした場には現地のアムネスティ支部の会員が参加することもあります。

アムネスティの各国訪問は、訪問する意思を当局者に通知します。政府がアムネスティの訪問許可申請を拒否することは稀であるが、許可を要する国家において査証が得られなかったり、数度後回しにされ訪問が不可能になったりする場合もあります。アムネスティは毎年、100から150カ所を訪問しています。

無差別攻撃(Indiscriminate attacks

1949年のジュネーブ条約第一追加議定書第51条は、武装勢力によっておこなわれる目標を特定しない攻撃と過剰な攻撃の両方を、「無差別攻撃」として、禁止しています。文民である住民および民用物(違法軍事目標)と戦闘員および軍事目標(合法目標)とを識別するために必要な手段を講じない場合、それは「無差別攻撃」です。合法目標に対してであっても、巻き添えによる文民の予測死亡者数が直接の軍事利益と比較して過剰である場合も無差別攻撃とみなされます。アムネスティは、政府軍によるものであれ武装政治組織によるものであれ、無差別で過剰な攻撃に反対し、この問題には国際人道法に依拠して取り組んでいます。

無差別殺傷兵器(Indiscriminate weapons

アムネスティは、無差別殺傷兵器の世界的な製造、移転、使用に反対します。また、対人地雷の世界的廃絶キャンペーンを支持しました。国際執行委員会(IEC)は、全支部と協議をしたのち他の無差別殺傷兵器についても廃絶を呼びかけることを決める権限を持ちます。

従来から存在するクラスター爆弾と劣化ウラン弾という2種類の兵器が廃絶の対象となりました。20006月、アムネスティは、人口密集地近辺においてクラスター爆弾を使用しないこと、劣化ウラン弾の使用による健康と環境に及ぼす長期的な影響について独立して調査すること、その調査結果が出るまで各国家は劣化ウラン弾の使用停止を考慮することを求めました。200110月には、アムネスティはクラスター爆弾の使用の一時停止を求めました。

免責(Impunity

文字通り、免責とは刑罰の免除です。アムネスティや他の人権団体のいう免責とは、政府が、国際人権基準に従って加害容疑者を裁判にかけて人権侵害を裁くことができなかった、あるいは他の方法で犠牲者の受けた被害を償うことができなかったという意味です。

法律によって明白に禁止されているにもかかわらず人権侵害に関与した加害者を許すことは、その犯罪を存続させることです。一方、加害者を確実に裁きにかけることで、人権侵害は許されないというメッセージを社会に送り、起きうる人権侵害を未然に防ぐ役目を果たします。免責とは、人権侵害の犠牲者が受けるべき正義を否定し、その権利を再び剥奪します。免責は、真実が明らかにされ認知されるという犠牲者とその関係者の権利、正義がおこなわれる権利、実効的な救済を受ける権利を否定します。

アムネスティの免責反対キャンペーンにより、人権侵害の加害者を裁くという国際社会の政治的意思が強化されています。アムネスティは、戦争犯罪や人道に対する罪を裁くために設立される国際刑事裁判所(ICC)の設置規程に人権原則が取り入れられることを目指します。また、常設の国際刑事裁判所の設立を目指すキャンペーンにおいても、アウグスト・ピノチェト前チリ大統領の事件で普遍的管轄権を実現させようとする努力においても率先した役割を演じました。アムネスティは、人権侵害の加害者を一律に恩赦することに反対し、重大な人権侵害の加害容疑者は国際基準に従って法廷で裁かれなければならないとします。この原則は、大規模な人権侵害に続く紛争後の状況下においても重要です。事件の真相を明らかにし、人権侵害の説明責任を確立し、加害責任者を裁判にかけることによってのみ、真の平和が永続するために不可欠な条件である司法制度の信頼を回復し、人権が保障されうるのです。

良心的兵役拒否(Conscientious objection

アムネスティは、すべての人は良心あるいは個人の深遠な確信に基づいて、法的あるいは事実上の刑罰を受けることなく、兵役を拒否する権利を有することを確信しています。そして、このような良心的兵役拒否の権利を行使したために投獄された人を良心の囚人とします。ただし、内容や期間が刑罰的、差別的ではない軍務以外の代替業務を拒否したために投獄された人は良心の囚人とはみなしません。また、良心的兵役拒否者は、徴兵前、徴兵後を問わずいつでも良心的兵役拒否の権利を認められるべきであり、その権利は、戦時を含めていずれのときも制限されるべきではないと主張します。

武力紛争の項を参照。

良心の囚人(Prisoner of conscience

暴力を用いたり唱導したりしていないにもかかわらず、政治的、宗教あるいはその他の良心的信条、民族、性別、人種、言語、国籍、社会的出自、階級、生まれ、性的指向(「性的指向」の項参照)などを理由にして、投獄あるいは物理的に拘束されている人のことを言います。投獄されている良心の囚人が世界でどのくらいいるのかはわかりません。良心の囚人は、彼らの思想とは相容れない政治・社会システムを維持する政府、あるいは武装政治組織によって拘束されてしまいます。ニュースに取り上げられる人がいる一方で、大勢の人びとが知られぬままに存在していることは事実なのです。

良心の囚人の中には、世間によく知られた著名な人物もいます。多くは芸術家や弁護士、政治家、労働組合関係者など、政府の見解に異議を申し立てたような人びとです。しかし、多くの良心の囚人たちは、もっと幅広い社会的背景のもとに暮らしていた普通の人びとで、政治活動だけではなくその人が誰であるかというただそれだけのことを理由に投獄された人びとです。良心の囚人の中には政治体制そのものに反対する人びともいますが、ほとんどは、その国の政治体制の法的枠組みの中で生活していたにもかかわらず投獄されているのです。誰でも、ありとあらゆる理由で良心の囚人となりうるのです。一例として、以下のような理由があります。

・地域開発活動など非暴力的な政治活動に参加した

・自治権を求める少数民族に属している

・国家が認めない宗教的慣習を尊重するよう主張した

・ストライキやデモなど労組活動に参加した

・当局を批判しただけなのに、罪を犯したとされてしまう

・自国での人権侵害に警鐘を鳴らすような新聞記事を書いた

・良心的理由により兵役を拒否する(「良心的兵役拒否」の項参照)

・公用語の使用を拒否する

・特定の村に住んでいる

・著名な反体制派の一族である

・性別を理由に物理的に制限されている女性(タリバン政権時代のアフガニスタンなど)

・現実あるいは認識されている性的指向のため、または同性愛的関係を持つ行為をした

アムネスティは、すべての良心の囚人は即時無条件に釈放されるべきであると主張します。国際法上、政府にこうした人びとを拘禁する権限はありません。これらの被拘禁者はその信条や個性を理由に拘禁されているのであり、なんらかの犯罪をおこなったからではありません。

アムネスティは「良心の囚人」を詳細かつ限定して定義しています。どの囚人がこの範疇に該当するかという判断には、事実を慎重に分析する必要があります。この判断の責任を負うのは、国際事務局の職員です。職員は多数の情報源からの情報に依存しています。国際事務局は、「良心の囚人」の定義を踏まえ、そうした情報を吟味します。判断が困難な場合、リサーチャーが、各国のアムネスティ会員で構成されるマンデイト(責務)委員会にケースを送付してその判断を求める場合があります。

差別、政治囚の項を参照。

ルフールマン(Refoulement

ノン・ルフールマンの項を参照。

レイプ(Rape

レイプ(強かん)の法的定義は法制度によって多様に異なり、また、レイプについての普遍的な国際的な法定義も得られてはいません。

国際刑事裁判所規程では「犯罪の諸要素(Elements of Crimes)」最終草案にて、レイプを次のように定義しています。

1.実行者が、実行者の性器または性的な器官を被害者の身体のいずれかの部分に、わずかであれ貫通させる行

為や、なんらかの物体や他の身体部位を被害者の肛門または生殖器に貫通させる行為によって、人の身体を侵襲すること。

2.その侵襲が、その人または他の人に対して、暴力の恐怖、強迫、拘禁、心理的抑圧、権限濫用によってまたは強制的状況を利用して引き起こされたような、実力、実力の威嚇、強制によっておこなわれること。または、その侵襲が、真の同意を与える能力のない人に対しておこなわれること。

レイプは暴力、攻撃および支配の犯罪であり、女性に対し不均衡に影響するため、女性に対する暴力行為といえます。

国連拷問等禁止条約(拷問および他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取り扱い又は刑罰に関する条約)は拷問を身体的なものであるか精神的なものであるかを問わず人に重い苦痛を故意に与える行為であって、人から情報若しくは自白を得ること、罰すること、脅迫し若しくは強要することその他これらに類することを目的として又は何らかの差別に基づく理由によって、かつ、公人により又はその扇動や黙認のもとにおこなわれるもの、と定義しています。レイプは深刻な肉体的・精神的苦痛を引き起こし、犯人による故意の行為であり、被害者を怖がらせるか、その品位を貶めるか、辱める意図で実行されます。

世界的および地域的な人権団体はレイプについて公人によっておこなわれた際には常に拷問とみなし、「個人的」若しくは「私的」な行為だとはみなさないこと、また、それゆえに普通の犯罪行為であると定めました。

アムネスティは、公人ではない私人(非政府の行為者)によるレイプの場合でも、国家が当然おこなうべき防止策を怠っていたり、罪に対する罰則や賠償を設けていなかったりする場合には国家がその責任を負うべきであると考えます。例えば、レイプを管理する法則は多くの場合不適当であり、また多くの国々が配偶者によるレイプを認識せず、禁止していません。いくつかの国ぐにではレイプを申し立てる女性は逆に婚外性行為のために起訴されてしまいます。しばしば、証拠の原則は(rules of evidence)レイプされたと主張する女性の証言が本質的に信頼性が低いことを明示するとともに、女性が勝訴することを非常に困難にしています。女性運動および法的権利に対する制限は公正な裁きへの道のりをさらに遠くします。世界の多くの地域では、警察が女性によって報告された被害を慣例的に調査しません。また、裁判所には女性の被害者に対する偏見があるように思われます。アムネスティは、国家が女性の基本的人権を保護する責任にもとづいて手段を講じない場合、その責任は国家が負うものだと考えます。国家は、レイプがどこでおこなわれたのか、実行者が暴力的な夫なのかまったく見知らぬ者なのかにかかわらず、国際法の下でレイプを禁止し防ぐ積極的手段を講じ、かつレイプの起訴に応じるための義務を負っています。

レスビアン、バイセクシュアル、トランスジェンダー の人びと(Lesbian, bisexual, and tender (LCBT) people

性的指向の項を参照。

ワールドワイド・アピール(Worldwide Appeals)

ワールドワイド・アピールは、人権侵害の犠牲者個人に関して世界中のアムネスティ会員が行動するケースのことです。 それぞれのワールドワイド・アピールはアムネスティが把握している何千人もの犠牲者の中から選ばれます。それが集中的に手紙を書き、広報することでいい結果を得ると考えるからです。 ワールドワイド・アピールはアムネスティのニュース・レター「the WIRE」に取り上げられ、各支部やグループで翻訳・印刷されます。こうして世界中の何十万人もがこのような個人の危機に注意を喚起され、彼らのために直ちに要請を送ったりキャンペーンを行ったりします。

ワールドワイド・アピールはアムネスティのウェブサイト(www.amnesty.org)で主要言語(アラビア語、英語、スペイン語、フランス語)で読むことができる。

ワールドワイド・アピールは、写真入りで紹介されることも多く、個人のケースの履歴(姓名、肩書、手紙を書く対象となっている政府高官の住所、そのケースについてアムネスティが特に要求している内容などです。)を記述しています。それぞれのケースの新たな情報は、手に入り次第「the WIRE」と(www.amnesty.org)に掲載されます。

Comments